大阪商業大学商業史博物館(東大阪市御厨栄町4、TEL 06-6785-6139)で10月24日、秋季企画展「なにわ風情を満喫しませう―大坂四条派の系譜―」が始まった。
幕末から明治の大坂で活躍した大坂四条派の西山芳園・完瑛親子の作品を中心に、船場の商人が床の間に飾った、「大坂らしい」はんなりとした作品に焦点を当てる同展。2期で構成し、60点を展示する。
前期は、髪の一本一本に至る細部まで描いた完瑛の「和美人」や、江戸から戦前にかけての夏の風物詩で、大川に出した夕涼みの船を描いた「涼船図」、芳園の三幅対などを展示。日本美術を研究・収集したことで知られるウィリアム・ビゲローの旧蔵品だった芳園の「旭日老松」は、1933(昭和8)年の「故ビゲロー氏遺愛品浮世絵及四条派画幅入札」会に出品され、大卒初任給が75円程度だった当時、4,199円で落札されたことから、当時の芳園がいかに評価されていたかが分かる。
大坂四条派の特徴について、同館主席学芸員で大阪画壇担当の明尾圭造さんは「若冲などのような強烈な作品はないが、下にどのような花を飾るかで絵が完成する落ち着いた作品。写実性が豊かで、描き込みすぎず季節を味わえる」と言い、「どの作品も表具が良く、作品が大切にされている。茶会や料亭の床の間を彩り、大坂の上流階層に所蔵者が多かったことによるもの」と解説する。「今の大阪は派手なイメージだが、人知れず穏やかなものを見て楽しむのが大坂の人。先人が文化に対してどういう思いをしていたのか追体験してもらいたい」と話す。
11月16日の15時~15時30分には学芸員による展示解説を実施。17日の11時~13時30分には花外楼 北浜本店(大阪市中央区)で、「描かれた大坂を味わいませう」と題し、料亭での作品観賞会、18日の14時~16時30分には、同大学ユニバーシティ・コモンズ re-Actでシンポジウムを開く。いずれも参加は無料だが、17日のみ食事代実費として1万5,000円が必要。申し込み・問い合わせは同館まで。
開館時間は10時~16時30分。日曜・祝日、11月9日休館。観覧無料。前期は11月8日まで、後期=11月10日~25日。