住まい再生を通じて地域活性を図る団体「河内いえ・まち再生会議」(東大阪市東石切町5)が制作する冊子「かわち 城ものがたり ~生駒山麓 四條縄手の戦い~」が完成し、現在、市内各所に配布している。
建築家や大学教員、地域文化誌編集者らが理事となり2014年4月に発足した同団体。古民家や空き家の再生を中心に、大工道具の使い方を学ぶ「大工塾」や地域の空き地を使った泥遊び、川遊びなどのイベントも開いてきた。
冊子を総括した理事の村上廣造さんは戦中生まれで、生まれて間もない頃に父親の実家のある東大阪市客坊町に疎開し、これまで73年間居住する。「昔は祭りや結婚式、葬式、棟上式は村総出で行っており、その際に地域の歴史を伝え聞いてきた」と言い、常に地域のことに関心を持ちながら活動し、河内ふるさと文化誌「わかくす」の副会長を務めるなどしてきた。
約1年前、団体の活動を多くの人に知ってもらうにはどうすればいいかと会議を開き、生駒山麓を歩いてもらうには何か指標がいる、マップがいると意見が出され、地域の歴史に詳しい村上さんがいることから冊子の制作が決定。「地域資源を掘り起こして物語として作ることで歴史を知ってもらい、地域の人に誇りを持ってもらいたい」と、南北朝時代に高師直軍と楠木正行軍が戦った「四條縄手の戦い」にテーマを絞り、8つの城を調べた。
同冊子では、楠木正行が本陣を構えた往生院(六万寺町1)や河内城があった河内寺廃寺跡(河内町)などを紹介。城跡のないところも多いが、周辺の現在の様子を写真に収め、マップに落とし込んだ。現存する図面や資料など史実を基にしているが、挿絵などは想像して描いたという。
理事の仙入洋さんは「城というと天守閣があるものを想像していたが、寺などに堀を造っただけのものも城なんだと、城の概念が変わった。今は跡がないところもあるが、想像して楽しんでいただけたら」と話す。
冊子は商店街や駅、リージョンセンターなどに設置する。秋ごろには講演会と街歩きも予定する。