大阪ステーションシティシネマ(大阪市)で6月1日、映画「空飛ぶタイヤ」のプレミア試写会が行われ、東大阪のねじ商社と主演の長瀬智也さんが「ねじ対決」で盛り上げた。
池井戸潤さんの同名小説を映画化した同作は、トレーラーの脱輪事故により整備不良を疑われた運送会社社長・赤松徳郎(長瀬さん)が車両の欠陥に気付き、製造元の大手自動車会社に立ち向かうというストーリー。自動車会社の課長・沢田悠太役をディーン・フジオカさん、リコール隠しを疑う銀行員・井崎一亮役を高橋一生さんが演じる。
舞台あいさつに登壇した長瀬さんは「池井戸作品初の映画化で、最初は僕でいいのかなと思った」と戸惑いつつも、「今年40を迎えると同時に社会に対して自分のいる位置とか考える部分はあったので、果たして僕でできるのかという挑戦の部分もあったが、この役を全力でさせていただいた。現代社会に起こりうるストーリーで、どんな方たちにも当てはまるエピソードもたくさん入っている。今、社会で戦っている方たち、これから社会に向かう若者たちにも観ていただきたい」とあいさつした。
本木克英監督は「1年前に撮り終えた作品で、公開は1年後かと思っていたが、完成して宣伝期間を長くやっている間に、今の世の中の方がこの映画に公開する意味があるような状況になってきて不思議な運を感じている」とあいさつ。長瀬さんは「社長役はないと思うが、同世代の友だちとか家業を継いで中小企業の社長をしている男もいるので、仲間を思い出して考えたりした」と明かし、本木監督は「(長瀬さんは)全編を通して苦悩する姿が多いが、その苦悩する様が非常に美しい」と絶賛した。
試写会当日の6月1日は「ねじの日」で、司会者が「ねじの生産日本一は大阪」「その理由は東大阪市があるから」「東大阪はものづくりのまち」などと説明するが、長瀬さんはピンときていない様子で「へえ」を連発。同作の赤松社長のような人たちが多くいる東大阪から「中小企業の戦う男たち」が応援に来ていると紹介すると、ねじのかぶり物を身に着けた中小企業の社長らが登場した。
舞台上では、長瀬さん、本木監督、東大阪チームでゲームをする展開に。1分間にどれだけ高くねじを積み上げることができるかを競う「ねじビルド対決」をすることになり、東大阪チームが優勝。長瀬さんは「空気読んでくださいよ」と笑いを誘い、「練習しときます。バイクをいじっているとねじとか作りに行ったりする。意外に東大阪と相性いいと思う」と沸かせた。
同作品は6月15日、全国で公開。