東大阪市指定文化財の旧河澄家(東大阪市日下町7、TEL 072-984-1640)で8月21日、「中甚兵衛展 -大和川の流れをかえた男-」が始まった。
NPO法人地域情報支援ネット(小若江1)が刊行した郷土の偉人伝シリーズI「中甚兵衛物語」と紙芝居の原画を展示する同展。同書によると、中甚兵衛は1639年、河内国河内郡今米村(現・東大阪市今米)の庄屋で生まれる。旧大和川は柏原村(現・柏原市)から久宝寺川、玉櫛川など、いくつも枝分かれして北に流れ、流れ込んだ土砂が川底にたまりやすく、度々洪水に見舞われていた。
甚兵衛は19歳の頃から農民の窮状を幕府に訴え、大和川の付け替えを請願するが、新しく付け替える土地に家や田畑を持つ農民からは抵抗される。その後、計画の中止と請願が繰り返され、1703年、大坂東町奉行の万年長十郎の力添えがあり、幕府は正式に付け替えの許可を下ろした。
同作では、50年にわたる治水計画請願の様子や、約143億円の総工事費、1日1万人の工事人員、約8カ月の工期といった付け替え工事の規模、新しい田畑が1063ヘクタール開発されたが、新しい河川のために沈んだ田畑が257ヘクタールあったことなどが紹介されている。会場では、甚兵衛の子孫である中久兵衛さんの書籍も併せて展示する。
8月26日は13時から、中甚兵衛物語漫画作者の智多ともさんを招き、紙芝居の上演と展示の解説を行う講演会を開く。定員40人。9月2日は13時から、大和川市民ネットワーク事務局長の小松清生さんを招き、大和川かるたの紹介とかるた大会を行う。定員30人。いずれも参加無料。
統括責任者の堀木昌彦さんは「大和川の付け替えにより河内木綿が一大産業になり、この地域に影響を及ぼした。中家の親戚筋に当たる河澄家で地域のことをあらためて知ってもらいたい」と話す。
開館時間は9時30分~16時30分。月曜休館。入場無料。9月9日まで。