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大阪府立中央図書館で大原社会問題研究所100周年企画展 貴重書など400点

「百科全書」本巻第1巻初版本

「百科全書」本巻第1巻初版本

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 大阪府立中央図書館(東大阪市荒本北1、TEL 06-6745-0170)で1月16日、大原社会問題研究所設立100周年を記念した企画展「大原社会問題研究所と『大原文庫』の百年」が始まった。

大阪時代に刊行した年鑑

 同研究所は、1919(大正8)年2月9日、大原美術館の創設者でもある倉敷紡績社長の大原孫三郎が「社会の病弊を生み出す根源を探り、救治する方策を研究する」機関として大阪市内に設立した社会科学分野の研究所。孫三郎は、岡山孤児院の創設者・石井十次の影響を受けて経済的に支え、石井の死後、大阪に石井記念愛染園を設立。貧困児童を対象とする夜間学校を経営するなど社会事業にも熱心だったが、社会問題の根本的解決には研究が必要と考え、同研究所を創設した。

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 設立当初から「日本労働年鑑」「社会事業年鑑」「日本衛生年鑑」の編集・刊行を始め、研究活動のため、国内だけでなくヨーロッパに研究員を派遣し膨大な資料を収集。資料は研究員だけでなく、社会問題や経済学の研究者にも無料で公開した。1928(昭和3)年の三・一五事件の際に捜査を受けたことを機に孫三郎は研究所廃止の意向を示したが、協議を重ねた結果、1936(昭和11)年に東京への移転を決定。移転に伴い、土地、建物、資料約7万点を大阪府に譲渡した。寄贈した資料は同館の蔵書の中核としてこれまで多くの人々に活用されてきた。

 同展では、同館所蔵の資料と法政大学大原社会問題研究所の資料からパネルを作成し、同研究所と大原文庫の歩みを紹介。パネルとともに、大阪時代に刊行した年鑑や雑誌、研究員の著書、東京時代の刊行物を並べる。1545年刊行のガスパロ・コンタリーノ著「ヴェネツィア人の行政官と共和国」をはじめ、アダム・スミス著「国富論」やディドロ、ダランベール監修「百科全書」の初版本など貴重書も展示し、期間中は展示替えを行う予定。貴重書はウェブ上でも閲覧可能。

 社会科学系の資料以外では、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の「怪談」ドイツ語版や、南アフリカでダチョウ農場を経営する方法について書かれた資料なども展示する。

 調査相談課 社会・自然系資料室長の大島桂史さんは「中央図書館ができて初めての大原社会問題研究所の企画展。研究所の活動の歴史を知ってもらうと同時に、コレクションの多くが中央図書館にあることを知ってもらいたい」と話す。

 開館時間は9時~19時(土曜・日曜・祝日は17時まで)。月曜休館(2月11日は開館)。2月11日まで。