近畿大学近くのシェアハウス「かみこさかの家」が完成し、3月30日、オープンハウスを開催した。
近畿大学建築学部を卒業した大学院生や工務店、ハウスメーカーに勤める建築士らで構成する「ながせ出張所」(東大阪市近江堂1)と、建築学部の学生で構成し、地域の空き家をリノベーションしてシェアハウスや地域交流拠点として運営する「あきばこ家」、東大阪養護老人ホーム(新上小阪)が連携し、戸建て賃貸住宅をリノベーションした同シェアハウス。
「今は健康で一人暮らしをしているが不安を抱えている」「介護施設から出ていきなり一人暮らしをするのは難しい」という高齢者を同居する学生が見守る機能を持つ住宅として運営する。高齢者、学生共に短期の入居を想定しており、少しずつ自立するステップハウスと位置付ける。
住居スペースは64平方メートル。もともと3LDKだった住宅物件の1階はリビング兼地域サロンと高齢者の住居スペース、2階はバルコニーと建築学部学生の作業場、学生2人の住居スペースとし、学生は2階から出入りできるよう新たに外階段を設置した。通常学生が下宿するワンルームマンションはキッチンや風呂場が狭いが同シェアハウスは戸建て住宅のため広く、高齢者の見守りをすることで学生の家賃は安く設定している。
内装工事には同学部の学生30人が協力し、内装に使う300個の土ブロックを作った。ながせ出張所共同所長の松浦遼さんは「土はどこにでもあり大掛かりな作業がないため自分たちでメンテナンスできる。土以外にも卵の殻を利用した塗装にするなど自然由来の成分を選んで使っている」と話す。
学生には施設の協力を得て、高齢者との接し方やどういうことが起こりうるのかを学ぶ勉強会を事前に行い、高齢者との顔合わせや仮入居などを経て入居者を決定。入居する3人で話し合い、家具や照明などを取り付け仕上げていく。
ながせ出張所に所属する同大学大学院総合理工学部建築デザイン専攻2年の森下啓太朗さんは住みながらシェアハウスを運営をしていくと言い、「人の気配や照明から人がいることを感じてもらえるような、地域に開かれていながらプライバシーは守れるデザインにした。建物をリノベーションすることよりも地域の人がしたいことの土台を作ることがメイン。運営しながら地域に合うようにしていければ」と話す。