プレスリリース

[出品作品決定!7月5日(土)前売券発売開始]         特別展「NEGORO 根来 ー 赤と黒のうるし」

リリース発行企業:地方独立行政法人大阪市博物館機構

情報提供:




うるわし うるしの美
中世に花開いた漆(うるし)の美を心ゆくまで堪能
 2025年9月20日(土)~11月9日(日)の期間、大阪市立美術館にて特別展「NEGORO 根来 ー 赤と黒のうるし」を開催いたします。
 いわゆる「根来(ねごろ)」は、堅牢な下地を施した木地に黒漆を中塗りし、朱漆を上塗りした朱漆塗漆器(朱漆器ともいう)を指します。おおらかで明快な姿かたちに加えて、長年の使用により表面の朱漆が磨滅して下に塗られていた黒漆が現れることで生まれる古色も、大きな魅力となっています。
 かつて大寺院として広く世に知られた根來寺(ねごろじ 和歌山県岩出市)で、朱漆器が作られていたとする伝承から、後世にこの名がついたといわれています。
 本展では、根來寺が繁栄を極めた中世の漆工品を中心に、その前後の時代に制作された年紀や伝来の確かな名品、著名人の愛蔵品、そして現代に息づく赤と黒に彩られた漆器の数々をご紹介します。また、現代美術家・杉本博司氏によって、室町時代の根来経箱と古墳時代のガラス玉を用いて創作された「瑠璃の浄土」の出品も決定しました。大阪・関西万博が開催されている今年、JAPANを代表する漆の美を心行くまでご鑑賞いただける展覧会です。

?展覧会公式サイト:https://www.osaka-art-museum.jp/sp_evt/negoro
?根来展公式X /Instagram:@negoro_redblack
?巡回情報:サントリー美術館 会期:2025年11月22日(土)~2026年1月12日(月・祝)

出品作品について



輪花盆(りんかぼん)大阪市立美術館
 縁を花びらのすがたに象った盆で、中国伝来の器物の形を写しとっています。特に大型の輪花盆は、中世の絵画資料にみられる喫茶や宴席の場面などにも描かれており、日常的に使用されていました。本作は長年の使用や手擦れによって、朱漆が磨滅し、下に塗った黒漆が表面に見えています。装飾を最低限に抑えた形の美しさや優れた耐久性に加え、ありのままの無作為な姿は、近現代の茶人をはじめとする美術コレクターたちをも魅了し、鑑賞の対象となっています。





瓶子(へいし)サントリー美術館
 瓶の形をした酒壺で、神仏に酒を献納する際に用いられるのが通例の瓶子。中国陶磁の影響が表れた形ながら、頂上に筒状の注ぎ口をもうけ、肩は張り出し、胴部はゆるやかに引き締まり、裾に向かって末広がりになるのが特徴です。平安時代初頭には、現在見られるような瓶子がすでに存在していたと考えられています。





重要文化財 太鼓樽(たいこだる)文明5年(1473)銘 堺市博物館
 太鼓樽は瓶子、指樽、銚子といった器と同様に酒器の一種であり、人々の饗宴にも重宝されてきました。こちらの太鼓樽は、スギ材の一木を刳り抜いて作られ、注ぎ口には鉄製の懸金具をもうけ、鼓面には剣巴文を描くなど見所満載です。銘からは、高野山・山王院の什器として寄進されたことや、塗師の名前がわかることから極めて重要な基準作となっています。
【後期展示】





杉本博司 瑠璃の浄土(るりのじょうど)2005 小田原文化財団
 展示終盤には、本展3章のタイトルともなった、「根来の新境地」をご覧いただきます。中でもこちらは、現代美術家・杉本博司氏によるもので、古墳から発見されたガラス玉と、室町時代の根来経箱を取り合わせた《瑠璃の浄土》は、時代を越えて赤と黒の漆に宿る新たな魅力を私たちに語りかけてくれるでしょう。





福富草紙(ふくとみそうし)甲(部分) 2巻のうち 兵庫県立歴史博物館
 室町時代に流行したお伽草子の一つで、こちらは絵巻形式で構成されており、とある長者の出世譚とそれを羨んだ者の失敗談が描かれています。登場人物の背景には、茶器や酒器などの器が描き込まれており、赤と黒の漆で彩られた調度類が当時の生活に密着していた様子がよくわかります。





湯桶(ゆとう)サントリー美術館
 雲形の提げ手のついた器で、中国由来の器物の影響が見られるその姿かたちは、禅寺の什器にも通じる堂々とした佇まいです。注ぎ口はのびやかに弧を描き、胴体はすっきりと引き締まり、まさに用の美を体現していると言えるでしょう。





菓子器(かしき)天正元年(1573)銘 名古屋市博物館
 奈良・興福寺一乗院に伝来した器で、天正元年の銘が残っています。壺のような姿に鎬文(しのぎもん)で装飾しており、その形からは鎌倉時代に舶来した青磁の鎬文壺の影響がよく見てとれます。陶磁器とはまた違った、漆ならではのぽってりとした光沢感も鑑賞ポイントの一つです。





重要文化財 布薩盥(ふさつたらい)2対4口のうち 水戸大師 六地蔵寺 撮影:山崎兼慈
 根来はもともと仏器として用いられることが多かったとされ、この布薩盥もその一つです。寺院で半月に一度自己の行いを顧み、罪過を懺悔する布薩会(ふさつえ)で用いられてきました。布薩盥には「恵範」「細工根来寺重宗」の銘があり、当時の僧侶と根來寺とを結びつける貴重な手がかりとなっています。
【前期展示】



関連イベント

[講演会]技法から見た根来 ー 根来と他漆器の違いー
 9月28日(日)11:00~12:00 講師:池ノ上辰山氏(根来塗師・根来塗曙山会主宰)

[担当学芸員による見どころレクチャー]
 10月11日(土)・18日(土)14:00~15:00

 会場:1階じゃおりうむ
 予約:不要(当日30分前より受付にて整理券を配布)
 参加費:無料(ただし当日の特別展観覧券が必要)

 各イベントの詳細や申込方法は、展覧会公式サイト等をご確認ください。

開催概要


※会期・開館時間・展示内容等は変更の可能性があります。ご来館前に必ず展覧会公式サイト等をご確認ください。
※会期中展示替えを行います。詳細は展覧会公式サイト等をご確認ください。

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