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東大阪で「田辺聖子文学館見学ツアー」 田辺さん感じた戦争を作品で紹介

大阪樟蔭女子大学 田辺聖子文学館見学ツアー「田辺聖子の文学的世界」の様子

大阪樟蔭女子大学 田辺聖子文学館見学ツアー「田辺聖子の文学的世界」の様子

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 大阪樟蔭女子大学 田辺聖子文学館(東大阪市菱屋西4、TEL 06-6723-8182)で10月1日、見学ツアー「田辺聖子の文学的世界」が開かれた。

田辺さんの現在の仕事部屋を再現

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 大阪府立中央図書館(荒本北)、大阪樟蔭女子大学図書館、田辺聖子文学館が共催する同イベント。終戦から70年を振り返る企画として、同館学芸員の住友元美さんの講演「田辺聖子の『終戦』-軍国少女の『終戦』・作家としての『戦後』-」と、館内の展示物を解説しながら見学するツアーで構成する。大阪府立中央図書館では関連展示「『終戦70年』戦争を語る・戦争を伝える-作家たちの終戦-田辺聖子の終戦」展として、パネル展示や終戦前後の文学を集めた企画を展開している。

 1928(昭和3)年3月に生まれた田辺さんは、現在の大阪市福島区あたりに住み、1944(昭和19)年に同大学の前身の樟蔭女子専門学校に入学。1年目はキャンパス内に軍需工場ができたため学問を学ぶことができず、1945(昭和20)年6月の大阪大空襲で実家の田辺写真館が焼失。戦後、空襲に遭わなかった同校ではすぐに学校が再開し、田辺さんは通学をしていたが学友の半分は通学ができず卒業できない状況だった。

 講演では、17歳のときに終戦を迎えた田辺さんが終戦後に書いた作文や、初期の自伝的作品「私の大阪八景」「感傷旅行(センチメンタル・ジャーニイ)」で田辺さんがどのように戦争体験を表現しているかを解説。1960年代後半以降は、「猫も杓子(しゃくし)も」など「ハイミスを応援したいと働く女性を主人公にした作品を多く書いている」とし、「田辺さんにしか書けない戦争と昭和が描かれている」などと解説した。

 生い立ちから作品、仕事部屋の再現などが展示されている文学館の展示では、芥川賞受賞時に受け取った時計や、古典の現代語訳作品が多いこと、愛蔵品、司馬遼太郎さんとの交友関係などを紹介する。

 奈良県から同イベントに参加した濱田まち子さんは「田辺さんの小説を読んでいて、戦争に対する気持ちや戦後はどのように書かれていたかを聞きたくて参加した。知らなかった話もいっぱい聞けたのでこれからも読んでいきたい」と笑顔を見せる。

 通常時の開館時間は、月曜~金曜=9時~17時(土曜は16時まで)。日曜・祝日・大学の休業日は休館。入場無料。

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