東大阪市庁舎22階市民ギャラリーで3月5日、文楽人形を展示する「文楽人形 ものづくりの性根(しょうね)」が始まった。
市内の企業や団体で構成し、同ギャラリーの有効活用と展望レストランの活性化を図る「22会」が主催する同展。昨年12月、今米の川中邸で女性が1人で人形を操る「乙女文楽」が上演され、人形が東大阪・吉田にある「文楽人形工房 雅舎(がしゃ)」(東大阪市島之内2)で制作されたものであることを知った同会が企画した。
同工房の文楽人形細工師・菱田雅之さんは1962(昭和37)年、文楽座付人形細工師の菱田宏治さんの長男として生まれ、幼少期から父や祖父の職場である道頓堀朝日座で遊ぶ日々を過ごす。1980(昭和55)年には4代目大江巳之介に内弟子として入門し、1984(昭和59)年に大阪芸術大学を卒業。1986(昭和61)年に国立文楽劇場座付人形細工師となり、1996年に独立して同工房を開設した。現在は全国の人形座の企画・制作、人形の修繕のほか、工房で一般向けの文楽人形教室も開いている。
同展では、菱田さんや生徒が制作した文楽人形7体と首(かしら)や手など約30点を展示。首には男が約30種類、女が約10種類、特殊なものが約15種類あるといい、「娘でも年齢や身分など役によって性根(性格)が違い、目や口、瞳の角度、額や頬の張り具合などを彫り分け性根を表現している」と同工房の西島春乃さん。三味線を弾くシーンに登場する手や、「玉藻前曦袂(たまものまえあさひのふもと)」で使うキツネと女の2つの顔が付いた「両面(ふたおもて)」など、特殊な首も並ぶ。
会場には、刃物に慣れるよう最初に作る文楽首面や1人で遣うツメ人形、首の制作過程が分かるものなども展示する。
西島さんは「同じ娘の首でも違いがあるのを見てもらいたい。子どもたちにも見てもらい身近に感じてもらえたら」と話す。
開催時間は9時30分~17時(最終日は15時まで)。入場無料。今月13日まで。