
近鉄奈良線若江岩田駅近くの「紫雲山専正寺」(東大阪市西岩田1)内の自家焙煎(ばいせん)コーヒー豆販売店「NIRVANA Coffee(ニルヴァーナコーヒー)」が6月11日、開業1周年を迎えた。
「紫雲山専正寺」住職の和田夕弥さんは四條畷市にある寺の次男として生まれ、寺を継ぐ気はなかったが祖父と父の勧めにより、19歳で僧籍を得た。高校卒業後は不動産や冠婚葬祭の営業職に就き、和田さんが25歳の時に父が体調を崩して兄と寺を手伝ったことをきっかけに、2008(平成20)年に本山の職員になり、2010(平成22)年、27歳で実家ではない正覚山西方寺(生駒市)の住職になった。その後、2018(平成30)年からは紫雲山専正寺の住職も兼務している。
40歳になった際、「寺の仕事はやりがいがあるが、生きがいとは違う。自分の生きがいは何だろうと考えるようになった」と和田さん。「これから先、檀家が増えることはないし、建物の維持管理もしていかなければならない。寺のプラスになるもので自分のやりたいことを考え、好きなコーヒーを仕事にすればコーヒーをきっかけに寺に足を運んでもらえるのでは」と、カフェ開業スクールの焙煎(ばいせん)士コースを修了し、コーヒー豆焙煎機を購入して昨年6月、スペシャルティコーヒーの豆とドリップバッグのオンラインショップを開設。11月には離れの約10坪の応接室をリフォームし、直売所と9席のカフェをオープンした。商品は和田さんが焙煎後に本堂で祈願し、「ご祈祷コーヒー」として販売する
店名の「NIRVANA」は、「涅槃(ねはん)を意味する仏教用語で、すべての煩悩が消えた状態。悩みや苦しみが消え、癒やしの時間を提供できればと店名に付けた」という。販売する豆はスペシャルティコーヒーのオリジナルブレンドなど11種で、オリジナルブレンド(100グラム=1,200円)は「お釈迦さまがジャスミン系の甘い香りに包まれて旅立たれたことにちなみ、3産地の豆にほのかにジャスミンを感じてもらえるようブレンドした」と話す。
直売所では豆を選びたい人向けに500円で複数のコーヒーを試飲できるようにし、カフェではコーヒーを1杯500円で提供。カフェ限定メニューとして「自家製黒蜜豆乳プリン」(250円)、「極楽アフォガート」(500円)などを用意する。ギフトにも使えるよう、ボックスに入れた詰め合わせ商品やギフトバッグも用意する。
オープン1年がたち、「遠方から買いに来てくれる人が多い。ご祈祷コーヒーだから買っているのではなく、おいしいからリピートしているという声がうれしい。父の日のプレゼントなどにギフトボックスも利用してもらっている」という。「今後は、本堂の下の多目的室をカフェにして、昼も夜も営業していきたい。ワークショップやマルシェなどもできれば」と意欲を見せる。
営業時間は13時~18時。営業日時は専正寺の掲示板とNIRVANA Coffeeのインスタグラムで告知する。