東大阪市民美術センター(東大阪市吉田6、TEL 072-964-1313)で7月20日、特別展「高橋まゆみ人形展~ふるさと四季だより~」が始まった。
創作人形作家の高橋まゆみさんは、当初は洋人形を作っていたが、長野市から飯山市の農家に嫁いだ時に「農業をしているお年寄りたちに出会い、人形にしない手はない」と、飯山市で暮らすお年寄りや子どもをモデルとした人形の創作を始めた。
1998(平成10)年にユザワヤ創作大賞部門大賞、1999(平成11)年に新世紀人形展入賞、2001(平成13)年に日本手工芸美術展会長賞を受賞。2010(平成22)年春までに全国95カ所を巡回し、約180万人を動員。2010年、飯山市に高橋まゆみ人形館がオープンした。テレビCMや番組、年賀はがきに人形が使用されるなどしており、現在も農業をしながら人形の創作を続けている。
高橋さんの作品は村の人や雰囲気を題材にしたもので、顔の部分は発泡スチロールに粘土を付け、「粘土だけでは冷たい感じになる」とちりめんを貼ってコテで押さえて作る。人形の衣装は農家の人の野良着など実際に使っていたもので、「捨てられていく布で洋服を縫って再生している」という。「もともと手芸は嫌いだったが粘土の人形に出合い、人形を作って、服を縫ってと、することがいっぱいあり、一つ一つクリアしていくのが楽しくなった」と話す。
「今しか見られない、優しくなれる光景を忘れないうちに作らなきゃと、記憶を基に創作している」と言い、会場には、夏休みに祖母に会いに来た孫や、背中を丸めて独り酒を飲む祖父、駅員や学生、カップルらがいる駅やおでん屋台に集う人など、一つ一つにストーリーのある作品約80体が並ぶ。
「自分のおじいちゃん、おばあちゃんと重ねて見てもらえる。優しい気持ちになってもらって親しみを感じてもらいたい」と高橋さん。
開催時間は10時~17時。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入場料500円(中学生以下無料)。