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町工場の若手社員を集めた写真集「ゲンバ男子」 業界のイメージアップ狙う

「ゲンバ男子」出版記念イベントの様子

「ゲンバ男子」出版記念イベントの様子

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 町工場で働く若者の姿を集めた写真集「ゲンバ男子」(幻冬舎)の出版を記念し11月18日、大阪市内で記者会見が開かれた。

PR大使に任命されたモンスターエンジンの西森洋一さん

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 大阪市の中小企業支援施設「大阪産業創造館」が発行するフリーペーパー「Bplatz press(ビープラッツ プレス)」で中小製造業の経営者に取材をしてきた編集長の山野千枝さん。多くの経営者から「技術力があっても若年層の採用が難しい」と聞き、「地元の情報誌として何かできることはないか」と、若年層の採用促進と業界のイメージアップを目的としたプロジェクトを立ち上げた。

 今までのアプローチでは若い世代には届かないと考えた山野さんは「モデルや俳優ではなく、現場で生き生きと働く彼らだから伝わることもあるのでは」と、「町工場で働くイケメンを探す」というコンセプトで、町工場で働く35歳以下の若手社員を「ゲンバ男子」と名付け募集。2013年10月からスタートし、これまでに大阪府下74社138人の「ゲンバ男子」を取材し、ウェブサイトに掲載してきた。

 写真集には、これまでに取材した中からさまざまな技術の現場を選び40人を掲載。「手に職をつけたい」「自分が携わった製品を世に出したい」と、ホテルマンやアパレル業界から転職した若者や、イージス艦にも使われるワイヤロープを編み上げる若手職人らが作業現場で見せる真剣なまなざし、力強い肩や腕の筋肉を工場内の設備とともに写し出し、「ものづくりのかっこよさ」をアピールする。

 会見に登壇した山野さんは「大阪から始まった『ゲンバ男子』の取り組みは現在、川崎や春日井、北九州などにも広がりを見せている。写真集が大ヒットし、『ご当地ゲンバ男子』としてものづくりの街同士がつながり盛り上がれば」と期待を寄せた。編集を担当した幻冬舎の有馬大樹さんは「『ゲンバ男子』は働くことに向上心を持っている。もっとうまくなりたいと願望を素直に口にできるって素晴らしい。高校生がこういう仕事をしたい、女性が写真集を買っていいと思ってもらえれば」と話し、「1万部といわず、大ヒットといわれる5万部を目指す」と意気込みを見せた。

 プロジェクトが始まって間もないころに参加した布施金属工業(東大阪市森河内東)は、変圧器部品からレディー・ガガさんの舞台衣装まで手掛けるアルミニウム製品の製造・加工会社。写真集に登場するアルミ職人の山岸亮太さんは「職人の経験から金型を作らずに1個から製品を作ることができるのが魅力。今は溶接の技術を磨いている」と自身の仕事について話し、「若年層の採用促進に何ができるか分からないが、アルミタタキ板金って何?と興味を持つきっかけになれば」とほほ笑む。

 A5判120ページ。価格は1,512円。全国の書店、オンライン書店などで販売する。

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