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東大阪市民美術センターで銅版画「深沢幸雄展」 「顔」「人間」テーマに30点

たびたびモチーフにしていた不死鳥が描かれた「不死鳥は舞う」

たびたびモチーフにしていた不死鳥が描かれた「不死鳥は舞う」

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 東大阪市民美術センター(東大阪市吉田6、TEL 072-964-1313)で1月14日、企画展「東大阪市民美術センターコレクション 深沢幸雄展 人間賛歌-顔(かお)・貌(かお)・假面(かお)-」が始まった。

銅版画転向初期の作品

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 1924(大正13)年、山梨県に生まれた深沢さんは、東京美術学校(現・東京藝術大学)工芸科彫金部予科で学び、卒業後は美術教師として働く傍ら油彩画を制作。1954(昭和29)年、東京大空襲で受けた傷の悪化により油彩画から銅版画に転向。独学で制作を始めた。さまざまな技法を合わせた緻密で深遠な作品は国内外で高く評価され、2017(平成29)年に亡くなるまで大きな足跡を残した。

 企画展を担当する同センター学芸員の田中由紀子さんは「コロナ禍でマスク着用が求められる現在、マスクは仮面や覆面の意味もあり顔を隠すもので、感情が表れずコミュニケーションが取りづらい。そんな状況下で、作品の『顔』と対面することで、他者との関係性やコミュニケーションについて考えてもらえれば」と話す。

 会場には、同センターで2010(平成22)年に開いた企画展の際に東大阪市が寄贈を受けた深沢さんの作品41点のうち、「顔」「人間」をモチーフにした作品30点を展示する。

 「廃墟の貌」「骨疾E」「眠りの前」は、銅版画転向後の最初期の作品で、「戦後10年、どさくさが落ち着いて自分の価値観をどう構築していけばいいかというころで、閉塞(へいそく)感を表しているようにも見える」と田中さん。1961(昭和36)年からはカラー作品を手掛け、1963(昭和38)年にメキシコ国際文化振興会の依頼でメキシコを訪れた際には古代遺跡を巡るなどし、後の作品に鮮やかな色彩が加わるなどメキシコの影響を大きく受けているという。

 2008(平成20)年頃からは柔らかい描写の作品が多く、2010(平成22)年の「光のあたった人」は、「2003年に亡くなった妻・咲子への思いが感じられる作品」という。「技法で注目されていたが、人間が好きで人間に対する愛情が深い人だったのでは」と田中さん。

 「細かい描写が多く、小さい作品も入り込んで見てもらえる。作品と対話しながら見ていただければ」と来場を呼び掛ける。

 1月30日14時からは田中さんによるギャラリートークを行う。定員20人。参加無料。

 開館時間は10時~17時。月曜休館。入場無料。1月31日まで。

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