東大阪市民美術センター(東大阪市吉田6、TEL 072-964-1313)で7月24日、特別展「つちやあゆみの世界 ー歯車と音の遊園地ー」が始まった。
「見て、触れて、聴いて」をコンセプトに作品を制作する美術・木工作家のつちやあゆみさん。宇都宮市生まれ、神戸市育ちというつちやさんは、会社勤務を経て2008(平成20)年に多摩美術大学造形表現学部に入学し、空間デザインを学んだ。
つちやさんは「建築系の勉強をしていたが、卒業制作では何か動くものを作りたい」と思い、「小さいもので動くものといえば歯車。見た目にもかわいい歯車にはまり、作っていくうちに大きな作品になっていった」という。2012(平成24)年に同学部を首席で卒業し、「作品をコンペに出品したところ無印良品から声が掛かり、作家への道が開けた」と話す。
今回の展示は昨年企画されていたが、新型コロナウイルス感染症の影響で昨年は中止。「久しぶりの関西での展示なので楽しい作品を増やそう」と新作5点を制作し、15点の作品を展示する。
第1・2展示室の入り口にはSDGsの17目標達成を目指し、17種の木をたてがみに使う「歯車ライオン」を展示。たてがみ部分を回すとほかのライオンのたてがみも回る歯車になっている。会場を中に進むと、手でハンドルを回すと歯車が回りボールが動き出す、卒業制作で作った「歯車の遊園地シリーズ」が並ぶ。
テレビ番組「しまじろうのわお!」内で使われたカラフルな歯車アートを展示するスペースは、歯車を回しながら記念撮影ができるフォトスポットにもなっている。中央には、つちやさんの代表作「輪唱の○」を展示。ボールを上から転がすと並べられた板が鍵盤のように音を立て、曲になる。板は音階ごとに色を付けているので、板を置き換えることで違う曲を作ることができる。「楽譜が読めない人でも作曲体験ができる。小さいうちに、こういうのに触れると音楽が好きになるのでは」とつちやさん。「関西で展示をすると、かに道楽のオリジナルソングに並べ替える人が結構いて面白い」と笑う。
中央ロビーには、「遊んでいる間に歯車を身近に感じてもらえたら」と、1歳ぐらいの子どもでも押して回すことができる作品を設置。第3展示室には、花のようなかわいい形にした歯車を組み合わせ、回すとオルゴールが鳴る大型作品を展示。曲を変えることも可能で影も楽しめる。「下ものぞきこんでもらって、仕組みを知って帰ってもらいたい」と笑顔を見せる。
同展示は来館者がボールを転がして音を出して楽しむもので、同館ではボールに塗装したり、来館者ごとにボールを渡して持ち歩いて楽しんでもらったりするなど、感染対策にも取り組む。
開催時間は10時~17時(8月20日は20時まで)。月曜休館(月曜が祝日の場合は翌平日が休館)。入場料は、一般=500円、中学生以下無料。8月29日まで。