東大阪市指定文化財「旧河澄家」(東大阪市日下町7、TEL 072-984-1640)で7月22日、「東大阪の産業写真展」が始まった。
東大阪市内の工場の歴史を記録し、資料や写真を公開することで工場の誕生や操業の様子を後世に伝える活動をする「工場を記録する会」と、東大阪市内の工場密集地である高井田地区のものづくりを次世代に継承することを目的に活動する「高井田まちづくり協議会」の協力を得て、ものづくりのまち東大阪で、ものづくりの大切さと面白さを学んでほしいと2019年に1回目を開催した同展。今年は、工場写真を撮り続ける川勝溶工所(高井田西)の川勝親社長が撮影した工場写真とその製品、東大阪のものづくり企業がコロナ禍で開発した感染対策商品の紹介で構成する。
高井田まちづくり協議会の事務局長でもある川勝社長は、学生時代は写真部で活動し、カメラマンを経て溶接業の3代目となった。金型など機械部品の修理を専業とし、生まれも育ちも高井田という川勝社長は、得意先から「子どもが後を継がないのでおじいちゃんはこんな仕事をしていたと孫に見せたい」と言われたことがきっかけで、自身の仕事が終わってから工場の撮影を始め、高井田地区を中心に工場の写真を残してきた。
今回の展示では、松よし人形(荒川1)のひな人形を、新たに撮影したという職人がひな人形を作る様子や五月人形などの写真とともに展示。フセハツ工業(西堤本通西1)のコーナーでは、バネを作る機械と大小さまざまなバネが並ぶ。工場を記録する会の岡本好行さんは「昨年はねじの展示をしたので今年はバネ。どちらも日本の人になじみのある製品。川勝さんは40年以上溶接の仕事をしているので、現場を知っている人ならではの迫力ある写真を撮影する」と話す。
川勝社長は3~4年前から、廃業が増えている銭湯の写真も撮りためている。会場には、美吉湯(森河内西2)、第二寿湯(長堂2)、廃業した歓喜温泉の写真が並ぶ。川勝社長は「美吉湯の周辺は以前、多くの銭湯があったが、現在はここだけ。存続を望む声が多く、高齢の夫婦が薪で湯を焚き営業を続けている。第ニ寿湯は、先代が急になくなり若い息子があとを継いだ。湯の調整が難しく、やっと先代のやわらかい湯が再現でき営業している」と説明する。
感染対策商品を紹介するエリアでは、コロナ禍で感染対策に役立つ商品を開発した50社のうち、11社をパネルや商品で紹介。岡本さんは「感染拡大初期に、『困っている人が多いのでなんとかせなあかん』と商品開発をした人、企業があることを心にとどめてほしい」と話す。
8月8日は同館で、なにわ語り部の会による親子向け紙芝居、絵本の読み聞かせを行う。開催時間は13時~15時。参加無料。
開館時間は9時30分~16時30分。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入館無料。8月22日まで。