東大阪市指定文化財の旧河澄家(東大阪市日下町7、TEL 072-984-1640)で現在、企画展示「春から初夏の花々と歌に親しむ『万葉の花写真展』」が行われている。
華道家で「万葉の花」研究家の片岡寧豊(ねいほう)さんが、万葉集に登場する草花と歌を解説する同展。片岡さんは、華道家として国内外で生け花のデモンストレーションを行い、国際コンクールでは多数受賞経歴を持つ。著書に「万葉の花」(青幻社)、「やまと花万葉」(東方出版)などがある。
片岡さんによると、万葉集には約4500首の歌が収録されており、花を中心とした歌は1500首以上あるという。会場では、「奈良花写真の会」の会員が撮影した万葉集の歌に詠まれた花の写真パネル30点と、片岡さんが撮影した写真と解説文のパネル29点を展示する。春から初夏にかけて咲く花の写真を集め、入り口近くでは、旧河澄家の庭に植えられているアジサイや綿、バイモ、ヤマブキなどの花を、写真とパネルで紹介する。
かつて文人が集まったという奥座敷の「棲鶴楼(せいかくろう)」からは、枯池式枯山水庭園にある樹齢約500年のカヤの木やコケを観賞することができ、主屋の周りの庭では現在、さまざまな品種のアジサイが花を咲かせている。
同館の珠久真里子さんは「旧河澄家の庭にも万葉集に詠まれた草木や花たちが育っている。初夏の風を感じながら万葉人の心に触れ、四季の美しさや万葉集の魅力に親しんでみてほしい」と呼びかける。
開催時間は9時30分~16時30分。月曜休館。入場無料。6月12日まで。