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東大阪・田辺聖子文学館で企画展「田辺聖子の青春」 終戦前後の日記、初展示

初展示の日記「十八歳の日の記録」

初展示の日記「十八歳の日の記録」

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 大阪樟蔭女子大学田辺聖子文学館(東大阪市菱屋西4)で現在、開館15周年記念展示第3弾 第14回特別企画展「自伝的作品と習作でたどる田辺聖子の青春」が開催されている。

自作詩集「夢」

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 日記「十八歳の日の記録」は、故田辺聖子さんが樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大学)2、3年時の1945(昭和20)年4月1日から1947(昭和22)年3月10日の間に書かれた。2020年11月に遺族が発見し、三回忌を迎えた2021年6月に公開。12月に単行本「田辺聖子 十八歳の日の記録」(文藝春秋)として刊行された。

 同展では初展示の日記を中心に、田辺さんが自身の学生時代について書いた自伝的作品や、学生時代に書いた習作を展示する。

 1946(昭和21)年12月31日の日記には、「来年も、勉強して小説を書かう。私はもう、この道しか、進むべき道はない。さう、信じてゐる。」と、作家になる夢がしっかりと書かれている。同館学芸員の住友元美さんは「日記を見ると自伝小説と少し違っていて、やっぱり作家なんだと感じた。日記にルビを振るなど、人に見られることを意識して書いていたのでは」と話す。

 日記の中には外国文学史のテストがあると書かれており、田辺さんが当時学んだ外国文学史や「日本著名漢詩集 文学史研究論文(附) その一」のノートや「私の夢」と題した作文などからは、戦時下でも懸命に学び続けた田辺さんの様子をうかがうことができる。

 日記に作品タイトルが登場する学生時代の自作小説や詩集、直筆原稿などのほか、学生時代について後年振り返って書いた「しんこ細工の猿や雉(きじ)」「田辺写真館が見た『昭和』 戦火、熄(や)む」の直筆原稿を展示する。

 住友さんは「学びたいのに学べない時代にこれだけ学び、なりたいものになるために学び続けている姿を、当時の田辺さんと同世代の学生に見てもらいたい」と話す。

 開館時間は9時~16時30分。日曜・祝日休館。入館無料。11月21日まで。

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