廃棄予定の消防服のアップサイクルに取り組む大阪樟蔭女子大学化粧ファッション学科の学生が11月3日、花園中央公園で開催されるイベント「HANAZONO EXPO」で制作したドレスを披露するファッションショーを行う。
東大阪市消防局では毎年、防火服の更新30着分と職員退職数分の廃棄消防服が出ることから、環境保護への貢献と消防にあまりなじみのない女子大学生に消防に関心を持ってもらおうと、廃棄予定の消防服と消防用ホースを同大学に提供。被服構成学研究室・ファッション科学研究室のゼミ生10人が消防服のアップサイクルに取り組んだ。
今回提供した素材は、紺色の防火服5セット、紺とオレンジ色の活動服12セット、オレンジ色の救助服12セット、消防用ホース3本、ヘルメット、錣(しころ)、手袋など。11月のファッションショーに向け、5月ごろからドレスの制作を始めた。
マーメイドシルエットのドレスは水の流れをイメージしたもので、水の力で炎が消えていく様子を表現。紺色の部分は活動服を縫い合わせた。3年の新井綺華さんは「型紙を作って制作しているので、活動服のきれいなところを探して1枚の布を作るところから始めたのが大変だった」と振り返る。オレンジ色の部分はキルティング地になっており、「重いのでポケットを外したりするなど工夫した」とも。
消防士を応援するアイドルが着用する衣装をイメージしたというドレスは、防火服と活動服の元の形を生かし、ふくらませた袖やミニ丈のギャザースカート、リボンなどで明るく元気な印象に仕上げた。スカートの後ろ部分には、顔や首を守る錣(しころ)を活用する。
「2着目のドレスを考えていた時に、ホースの裏側がきれいなブルーだったので何かに使いたいと思った」と3年の泉千尋さん。3着目のドレスは、ホースの裏側を表地に使ったビスチェとスカートで、ビスチェには安全靴のゴムひもとストッパーを採用し、スカートは3種の消防服の端切れを縫い合わせ、ボリュームを出した。「消防士の方が現場で過酷な活動をしていることが伝わるよう、破れたり、すり切れたりしている部分もそのまま使っている。制服に入った名前もそのまま忍ばせている」という。
東大阪市消防局予防広報課の松尾信宏さんは「ファッション業界には詳しくなく、イメージしていたのと違うものができた。消防は武骨なイメージがあると思うので、真逆のものに仕上げてもらってうれしい」と話す。ショー当日、モデルとして登場する泉さんは「想像通りできて達成感が感じられた。当日までにポーズを決めていきたい」、ショーでナレーションを担当する新井さんは「モデルをきれいに見せるため、当日はメーキャップも担当するのでそこも見てもらいたい」と意気込む。
11月3日の同イベントでは12時45分から始まるファッションショーのほか、制作時に出た端切れを使うロゼット作り、廃棄するホースを使うポーチ作りなどのワークショップを開く。