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オフィス家具の林製作所、余剰在庫の棚板で自社製品 若手社員が開発

初めてホームユースのインテリア製品を手がけた林製作所

初めてホームユースのインテリア製品を手がけた林製作所

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 オフィス家具製造販売の林製作所(東大阪市稲葉1)が10月20日、手指消毒用アルコールポンプスタンドの棚板を活用した「AnoTana(あのたな)」シリーズ3製品の販売を始めた。

「ブックスタンド~ほんのこしかけ~」

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 1950(昭和25)年、書道用文鎮の製造販売業として現社長・林俊弘さんの父が創業した同社。1970(昭和45)年にはオフィス家具の企画製造を始め、1972(昭和47)年には大手事務機メーカーへのOEM生産を始めた。1998(平成10)年からは大手オフィス通販会社の開発メンバーと商品開発をするようになり、パーティションやパンフレットラック、ワゴンなど、林製作所ブランドの商品を販売するようになった。

 同社では2002(平成14)年、中国でSARSが発生したのを機にアルコール消毒液ボトル台を発売。その時はそれほど数は出なかったが、新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年度は約3万7000台、2021年度は約3万4000台を販売した。欠品を防ぐためには部材の在庫を抱えなければならず、コロナ禍が落ち着いた頃にはポンプを置く台となる棚板約2000枚が在庫として残った。

 「廃棄もできるが、廃棄するのは開発チームの敗北感がある」と、5月に社歴5年前後の若手社員7人でプロジェクトを立ち上げ、新製品開発が始まった。林社長は「オフィス通販カタログなどでは社名が出ないこともあり、認知度アップを目的に自社製品を開発することにした」と話す。これまでオフィス家具や事務用品など、オフィスで使用するものを中心に製造してきたため、家庭での使用を想定した商品を開発するのは今回が初めてで、発売までの期間を5カ月と決め、強度やサイズ感、木の温かみを生かした製品のアイデアを出し合った。

 コンセプトは「アルコールポンプスタンドの棚を再生した、空間に合わせて棚とフレームをカスタマイズできるシンプルインテリア」とし、林社長が在庫状況を確認する際に使っていた「あの棚どうなってる?」という言葉から、「AnoTana」シリーズと名付けた。

 商品は、サイドテーブル(8,800円)、ブックスタンド(3,850円)、Z脚机上ラック(4,980円)の3種類。サイドテーブルは、一般的なソファやベッドの高さに合わせ、床から天板までを60センチとし、天板奥のホルダーには穴を開け、スマートフォンやタブレットを充電しながらハンズフリーで使用できるようにした。棚板にスチール製のブックエンドを付けたブックスタンドは、「積読(つんどく)本が本棚に収まるまでの腰掛けをイメージし、背表紙が見やすく取り出しやすいようにした」という。Z脚机上ラックは、小物を置くだけでなく脚部の空間にも収納ができ、脚部はマグネットも使用できる。

 製品企画室の林勇帆さんは「棚板は脚部を設置するための穴を開けた状態で在庫していたため、仕様が制約されるのが難しかった。サイドテーブルの脚はパイプ1本で作っており、溶接の治具なども一緒に設計し、がたつきをなくすのに苦労した」と話す。コンセプト作りやロゴ作成、写真撮影なども初めて社員で行った。

 各製品とも、天板3色(ライトナチュラル、ホワイト、ナチュラル)、フレーム2色(ブラック、ホワイト)から好きな組み合わせを選ぶことができるようにした。同社製品正規販売代理店「P・G GLORIA」が運営するネットショップ「オフィス家具屋」各店で販売する。

 林さんは「来春には第2弾製品を発売したい」と意欲を見せる。

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