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サンコーインダストリーとHakobot、自動配送ロボでねじ運ぶ 公道で実験

重さ100キロのねじを積んで走行する自動配送ロボット「Hakobase」

重さ100キロのねじを積んで走行する自動配送ロボット「Hakobase」

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 サンコーインダストリー(大阪市)など3者が7月19日、東大阪市内の公道で自動配送ロボットを使ってねじを運ぶ実証実験を行った。

100キロのねじを配送する

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 ねじ専門商社「サンコーインダストリー」と自動配送ロボットを開発する「Hakobot(ハコボット)」(宮崎市)、近畿大学(東大阪市小若江)が行った実証実験。製造業の高齢化や人手不足の課題解決に向け、物流のラストワンマイルの自動化を目指してきた。Hakobotの大山純社長は「今回使ったロボットは『Hakobase(ハコベース)バージョン2』。四輪駆動・四輪操舵を実装し、小型だがパワフルな操作性と小回り性能が特徴。機体の特徴を活かして重さ100キロまでの工業製品を運ぶ実験とした。100キロの荷物を積んだ走行実験は、国内の公道ではあまり事例がない」と話す。

 東大阪に物流センターを構えるサンコーインダストリーの奥山淑英社長は「物流センターの1キロ圏内には取引先が20社ほどあり、このエリアでは小口配送が頻繁にあるが100キロの荷物でも2トントラックで配送することもあるので、この配送を自動化できることは大きなメリットがある」と話す。

 当日は、加工を依頼する重さ100キロのねじをHakobaseに積み、サンコーインダストリー東大阪物流センターから取引先の深輝精工までの約180メートルを走行。深輝精工は運ばれたねじを受け取った後、加工済みのねじを積み、ロボットは切り返しをせずにバック走行で物流センターまで戻った。ねじを受け取った深輝精工の社長は「人手が不足しているのである程度荷物をまとめてから運びたいが、納期があるので小口でも行くことが多かった。急ぎの場合など、1日に何回でもこのように運んでもらえたら、お客さんの要望にも応えられてありがたい」と話す。

 試験走行を終え、大山社長は「遠隔操作と遠隔監視のシステムを来年度開発し、道路使用許可を得ずに常時運行できるようにしていきたい。東大阪は小さい工場間でやり取りをしていて、今後、人が採れなくなってくると思うので、加工業であれば加工に専念できるよう、ロボットで配送業務を減らすことができれば」と意気込む。

 奥山社長は「実証実験の特区に東大阪がなれれば、東大阪で実験をして機体の改造をものづくりのまち東大阪で行い、また実験を繰り返すと、サイクルを早めることができ、実現する日がもっと近くなるのでは。小さい頃から見てきたものづくりのまちに先進技術を取り入れて、もっと盛り上げていきたい」と話す。

 今回の実証実験で現場を統括した近畿大学経営学部古殿研究室・古殿研究所の大谷諒馬さんは「中小企業の多い工業地域が全国にもたくさんある。東大阪から工業地域をより良くしていく一つのシステムを全国に提案していくことができたら」と話す。

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