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近畿大学とHakobotが公道で実証実験 自動運転配送ロボットが昼食デリバリー

近畿大学東大阪キャンパスから弁当を引き取りに向かう自動運転配送ロボット「Hakobase」

近畿大学東大阪キャンパスから弁当を引き取りに向かう自動運転配送ロボット「Hakobase」

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 近畿大学(東大阪市小若江3)経営学部経営学科・古殿幸雄教授のゼミと、自動運転配送ロボットの開発・製造を手がける「Hakobot(ハコボット)」(宮崎県宮崎市)が3月7日、自動運転配送ロボット「Hakobase」を公道で走行させる実証実験を行った。

店に到着した「Hakobase」に店舗スタッフが弁当を積み込む

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 同大学アカデミックシアターでは、学部や研究室の壁を超えて社会課題解決に取り組むプロジェクトが複数あり、古殿研究室を中心に現在、自動配送ロボットを用いた東大阪の物流問題の解決を目指す「SMART UPDATE PJ」に取り組んでいる。海外や国内でも自動配送ロボットの事例はあるが、関西での取り組みはまだあまりなく、東大阪市内の工場で製品を作る過程で発生する近隣工場間の配送に自動運転ロボットを使えないかと2023年度からHakobotと共同研究している。

 一方で、古殿ゼミでは2022年、約2万5000人が通う東大阪キャンパス内や周辺飲食店の昼食時の混雑回避を目指すフードデリバリーサービス「クルメシ。」を開始。大学前の商店街店舗の弁当を同サービスのウェブサイトに登録し、学生や教職員はスマートフォンやPCから事前に予約と決済をして、キャンパス内で弁当を受け取るまでのシステムを構築した。サービス開始当初は学生がリヤカーで弁当を引き取りに行っていたが、人員の確保に苦戦しており、「SMART UPDATE PJ」と合わせて「Hakobase」を使う実証実験を始めた。

 2022年12月にはキャンパス内で、コントローラーによる遠隔操作で学生が弁当を引き取る場所まで正常に走行できるか検証し、昨年9月には、オープンキャンパスの来場者に熱中症予防の水を配る完全自動運転の実証実験を行った。昨年4月に施行された改正道路交通法により、大きさや構造など、電動車いすと同程度の要件において自動配送ロボットは「遠隔操作型小型車」と定義され、届出制により公道を走行できるようになった。ロボットの近くに監視員を配置せずに、遠隔監視で歩道と路側帯を走行することができる。

 今回の実証実験では、「クルメシ。」サービスを活用し、キャンパスから公道を走り、弁当を積んでキャンパスに届ける実証実験を行った。教職員は11時までに学内Slackで弁当の注文をし、注文データは店のLINEと連携して自動で店舗に送信。混み合う前に自動配送ロボットが店に弁当を引き取りに行き、弁当引き取り時間は利用者に自動通知され、運ばれた弁当を教職員が受け取った。実証実験であるため、コントローラーを持った監視員が配送ロボットに付き添ったが、コントローラーを使うことなく、完全自動運転で2店から弁当を受け取った。

 Hakobotの大山純社長は実証実験を終え、「今回は初の公道実験ということで、人の少ない春休みのタイミングで行ったが、同じルートで、休みでない時期にもやってみたい。近大生は新しいデバイスを取り入れているのでリテラシーが高く、運行の邪魔にならないように避けてくれる。小型だが、四輪駆動・四輪操舵を実装したパワフルな走破性と小回りの利く足回りが特徴で、積載重量100キロまで運ぶことができるので、外に出て実証実験を重ねることで認知を広め、屋外で走ることができる利点を生かして工場間連携の配送に使えれば。その点で他社と差別化を図りたい」と話す。

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