![古事記や日本書紀の神話をモチーフにした作品が並ぶ](https://images.keizai.biz/higashiosaka_keizai/headline/1739196867_photo.jpg)
東大阪市民美術センター(東大阪市吉田6、TEL 072-964-1313)の企画展「フジイフランソワ ムスヒ の つれ つら なり なり」が2月5日、始まった。
日本画家のフジイフランソワさんは静岡県生まれ、愛知県在住。1998(平成10)年に準朝日広告賞、2000(平成12)年にVOCA展2000奨励賞、2008(平成20)東山魁夷記念日経日本画大賞展入賞などの受賞歴がある。
企画展タイトルの「ムスヒ」は、天地や万物を生み出す神を意味し、第1・2展示室では、動植物や八百万の神、付喪神(つくもがみ)、日本書紀などの神話をモチーフに、江戸絵画などの古典絵画を引用しながら現代の技法を取り入れた、ユーモアのあるフジイさんの作品38点を展示する。
言葉遊びと古典絵画を引用した作品「鶏頭」は、植物のケイトウの花の部分にニワトリの頭部を描いている。同センター学芸員の田中由紀子さんは「このニワトリの頭部は伊藤若冲が好んで描いたニワトリの作品から引用している」と解説する。作品「やなぎにかえる」は、「柳に飛びつくカエルを思い浮かべるが、カエルが柳に帰っていって、柳の葉になっている。引用と同音異義語が図像となった時のずれに面白さがある」という。
長年使い込んだ古道具に魂が宿ったとされる「付喪神」をモチーフにした作品は、目や鼻、口、手足などがある茶窯や筆などの道具を描いたもので、室町時代の付喪神絵巻から描かれているという。田中さんは「これも伊藤若冲や江戸琳派の酒井抱一の作品を引用したものでは」と説明する。「座敷和菓子」シリーズは、ミカンの皮の中にウサギ、笹団子の笹の中に子犬が描かれており、「これも和菓子に魂が宿っているというもので、かわいいが、ちょっとドキッとするような作品」と話す。
フジイさんは近年、古事記や日本書紀に登場する神々を鹿の姿に重ねて描いており、作品「このはなさくや」は鹿の角から桜の木、「オオゲツヒメノカミ」は果物がなった木が角から生えているなど、それぞれ神話のストーリーを絵画で表現している。
田中さんは「フジイさんが近年テーマにしている日本書紀や古事記に東大阪の地名が出てくることから、今回の企画展は古事記や日本書紀のシリーズにこだわった。その辺りを意識して見ていただくと、古事記も日本書紀も作品も身近に感じられるのでは」と話す。第3展示室には、古事記や日本書紀に関するパネルや参考文献を集めた。
2月11日は14時から、学芸員によるギャラリートーク、2月15日は14時から、神職資格を持つ雅楽奏者でもあるフジイさんが雅楽ライブを行う。
開催時間は10時~17時。月曜休館(月曜が祝日の場合は翌日)。入館無料。2月24日まで。