
特別展「誕生55周年記念 Hello!セサミストリートの世界展」が7月18日、東大阪市民美術センター(東大阪市吉田6、TEL 072-964-1313)で始まった。
1969(昭和44)年にアメリカで放送が始まった子ども向け教育番組「セサミストリート」の誕生55周年を記念して開催する巡回展。映像や貴重な資料を多数そろえ、「観る」「識(し)る」「聴く」「出会う」「感じる」「裏側を覗(のぞ)く」「シアター」の7コーナーで構成する。
教育とエンターテインメントを融合した「セサミストリート」は、経済格差や人種差別が社会問題となる中、質の高い教育を受けられない子どもたちにテレビを通して教育を提供しようと企画された番組。「識る」コーナーでは、同番組の誕生から年代ごとに写真を用いた解説パネルを用意し、資料や映像とともに歴史を紹介する。同センター学芸員の田中由紀子さんは「セサミストリートの『セサミ』は、アラビアンナイトの『アリババと40人の盗賊』に出てくる呪文『開けゴマ』からきている。子どもたちに知識や新しい世界の扉を開いてほしいという願いから付けられた」と解説する。
同番組から誕生した楽曲「Sing」やテーマソング「Sunny Days」など、同番組と音楽の関係を紹介する「聴く」コーナーでは、会場で曲を流し、直筆楽譜などを展示する。田中さんは「スティービー・ワンダーやポール・サイモン、ダイアナ・ロスなどのスターが出演していた。子ども向け番組だが子どもだましではなく、子どものころから本物に触れるということを大事にしていたと思う」と話す。
セサミストリートのキャラクターを紹介するコーナーでは、撮影にも使われたパペットや名シーンの映像、各キャラクターのプロフィルパネルを展示。「あまり登場しないクッキーモンスターのママやグローバーのお母さんなど、レアなキャラクターのパペットも展示している。セサミストリートには、国籍が違う子どもや母子感染でHIVに感染した子ども、自閉症の子どものキャラクターなど、その時代の背景に合わせたキャラクターが登場しており、エピソードを通して多様性や個性、人との関わりなどを考えた番組構成になっているのがすごいところ」と田中さん。
制作現場を紹介するコーナーでは、パペットを操る人やカメラワークなどについて解説。「2人で動かしている人形の操作は、制作に携わった人が日本で見た文楽を参考にしているそう。大阪発祥の文楽がセサミストリートとつながっていたことを知ってもらえるとうれしい」と話す。食べ物や料理について教える食育のコーナーで登場するキッチンカーを再現したオブジェなども展示する。
田中さんは「セサミストリートの住民は、モンスター、人間、動物が共存して仲良くやっていて、1969年の番組放送開始から多様性を重んじている。昨今、多様性という言葉が聞かれるが、実際に行動レベルまで落とせているかというと難しい部分もあると思う。セサミストリートから多様性や個性を認め合うというところを今一度考えてもらえたら。夏休みなので、多くの家族連れや若い方に見にきてもらいたい」と話す。
同センター1階には、セサミストリートショップを開設。会場限定グッズも販売する。
開館時間は10時~17時(8月2日・9日・16日は20時まで)。観覧料は、一般=1,000円、高校生、東大阪市内在住65歳以上=500円、中学生以下無料。月曜休館(祝日の場合は翌日)。8月31日まで。