プレス金型製造・プレス加工を行う中辻金型工業(東大阪市長田西4)は6月3日、未来のものづくり職人を育成する情報発信基地「enjoymono」の事業化に向け、クラウドファンディングで支援募集を開始した。
ものづくり企業を知ることや体験する機会が少なく、技術が受け継がれないことから遅化が進む日本のものづくりに危機感を覚え、「ものづくりを体感してもらう発信基地が必要」と誕生した「enjoymono」プロジェクト。以前から見学や体験などの受け入れをしてきたが、「大人にも子どもにもものづくりの醍醐味(だいごみ)を知っていただき、未来の職人を生み出したい」との思いから事業化に踏み切った。
同プロジェクトでは、子どもから大人まで「ものづくりにワクワク感を持つ人」を「こども金型職人」と位置づけ、ものづくりに携わる町工場の従業員や職人を招いた講座の開催や、実際に作られたプレス金型を組み立てて加工するワークショップ、アイデアと町工場の技術をつなぐマッチング事業などを展開。メーカー担当者やデザイナーなど、技術を知らない人が工法や技法を知り新しい「モノやコト」を創出する場、ものづくりの未来を担う子どもたちにものづくりの面白さを伝える場を目指す。
同事業では、ものづくりに特化したクラウドファンディング「zenmono」を活用し、ものづくり講座の講師と資金を募集。総括部長の戸屋加代さんは「金型メーカー初の取り組みとしてどれぐらいの方に共感していただけるのかを知りたいと思ってクラウドファンディングを活用した」といい、8日現在、資金で支援する「パトロン」に23人、資金以外で支援をする「サポーター」に5人の応募があり目標の64%を達成している。「支援の一つ一つが自信となり、やらなければいけないプロジェクトだと認識した。支援していただくことで必ず成功させないといけないという使命感を持つようになった」と話す。
戸屋さんは「日本の産業を支えてきたのはものづくり。MADE IN JAPANのものづくりを子どもたちに伝え、未来の職人を生み出すことで世界に発信できるものづくりを実現していきたい」と意気込む。