国指定史跡・重要文化財の鴻池新田会所(東大阪市鴻池元町、TEL 06-6745-6409)で6月15日、鴻池家寄贈民具展「鴻池家の茶道具」が始まった。
当主の善右衛門が代々茶道に傾倒した鴻池家は、表千家に師事するとともに保護し、明治以前の当主は宗名(茶名)を名乗ったという。茶器収集を趣味とし、その様子は古典落語の演目「はてなの茶碗」にも描かれている。
同施設では、10代当主幸富、11代幸方、12代幸昌が収集し、使ったとされる茶道具を収蔵。主に幸昌が戦後の一時期、会所を住居として使っていた際に本邸から持ち込まれたものとされており、この時期に数寄屋造りの茶室、新しい座敷が増築されていることから茶道に傾倒していたことがうかがい知れる。
同展では、江戸時代から昭和にかけて使われた茶道具25点を展示。古い物は、江戸時代の糸目甑口釜(いとめこしきぐちがま)や朝鮮風炉(ぶろ)が残されている。銀瓶や心斎橋の錫(すず)師・錫屋新兵衛の錫挽溜(すずひきだめ、茶壺)、火入れや桐製の莨(たばこ)盆、煙管(きせる)などが並ぶ。
「未開封の辻利一本店製の抹茶は戦後すぐにはあったので昭和初期のものと思われる」と、学芸員の別所秀高さん。
開館時間は10時~16時。入館料は、大人=300円、小・中学生=200円。月曜、祝日の翌日休館。7月15日まで。