大阪商業大学(東大阪市御厨栄町4)アミューズメント産業研究所(TEL 06-4370-6570)で10月26日、第18回特別展示「必見!じゃんけん!大発見! 拳遊戯の世界」が始まった。
以前はキャンパス北側の「学術センターU-BOX」内にあったが、今年6月、キャンパス内の谷岡記念館1階に移設オープンした同研究所。今回は開学70周年を記念し、同大学商業史博物館で開催中の展覧会「『楽しい生き方』の系譜-大阪文化の源流-」と連携し特別展を企画した。
これまでは、ボードゲームやカードゲームなど道具を使うゲームをテーマにしてきたが、今年は手や腕を使う「拳遊戯」を特集。「一般にはじゃんけんぐらいしか知られていないが、日本には200を超える拳のゲームがあった」と同研究所研究員の高橋浩徳さん。書籍や画像など約250点の資料で紹介する。
高橋さんによると、海外では古代ローマや中国で「拳遊戯」と思われるものが発見されており、古代ローマでは指で1から5までの数を出し、数を予想して同時に言い合う「ミカーティオ」があった。日本では平安時代に記録があり、2組に分かれて複数いるうちの一人に鍵を持たせ、誰が持っているかを当てるゲームや、手に握ったものの個数が奇数か偶数かを当てるものなどが記されているという。
「江戸時代には、ミカーティオと同様のゲームである『本拳』が料亭などで行われている様子が『料理通』という本に描かれ、遊郭で本拳を打つ姿は浮世絵でも残されている」とも。高橋さんは「拳は娯楽のほかにも勝負に使われたり競技として行われたりしており、専門書があったり家元になり弟子がいた人もいる。相撲を模して、土俵を挟んで勝負をしたり番付が作られたりしていた」と解説する。大阪の拳遊戯を紹介するコーナーでは、大阪で出版された拳の書籍や番付表なども展示する。
江戸中期には、じゃんけんのように強さを比較して勝敗を決める「すくみ拳」が登場。親指、人さし指、小指のいずれかを出す「虫拳」や、上半身でキツネ、鉄砲、庄屋の形を作る「狐(きつね)拳」、近松門左衛門の「国性爺合戦」を題材にした「虎(とら)拳」などを紹介する。
現在も地域で残っている拳遊戯があり、11月23日は、地域対抗招福なんこ大会実行委員会(鹿児島県鹿屋市)や、宿毛はし拳友の会(高知県宿毛市)、本家野球拳(愛媛県松山市)など、7地域の団体が集結する「日本拳遊戯サミット」を開き、解説や実演などを行う。
開館時間は10時~16時30分。日曜・祝日休館(11月4日・23日は開館)。入場無料。12月7日まで。