2月29日で閉館する映画館「布施ラインシネマ」(東大阪市足代新町、TEL 06-6782-2628)で1月24日、87本の名作を上映する「布施ラインシネマのラストショー」が始まる。
同館を運営する岡島興業は、1933(昭和8)年に映画事業を始め、布施に「昭栄座」を開館。戦後、1946(昭和21)年に「朝日劇場」をオープンしたのを皮切りに、7館の映画館を布施で運営した。「リオン座」の名称で営業していた現在の場所に、1997(平成9)年、まだ西日本にはあまりなかった7つのスクリーンを備えたシネコンの「岡島ラインシネマ」を開場。「布施ラインシネマ 北館」と名称を変え、線路南側の映画館は集約して「布施ラインシネマ 南館」となり、10スクリーンの布施ラインシネマが誕生。北館と南館を統合し、現在の7スクリーン1145席の映画館となった。
同館は昨年9月に閉館を発表。「最後に名作をたくさん上映したい」と、発表と同時に最後に見たい映画のリクエストを募集し、11月15日まで受け付けた。受付最終日には、「リクエストの投函だけに来た人もいた」ほど、多くの観客とスタッフから見たい映画のリクエストが集まり、開業からの87年間にちなみ、87本の名作を選んだ。
1月24日~30日は、「名作特集Part1」と「80年代角川作品特集」とし、スタンド・バイ・ミーやローマの休日、探偵物語など、1月31日~2月6日は、ゴジラや卒業などの作品と東映作品特集、2月7日~13日は、名作特集Part3と黒澤作品特集、2月14日~20日は、レオン、ジョーズなどと、ブルースブラザースなどの音楽作品、2010年代の邦画を特集する。2月21日~29日は、「ペーッタ」「バーフバリ」のマサラ上映、「プロメア」の応「炎」上映とマサラ応「炎」上映など、1日限定上映の作品もそろえる。ラインアップ発表後はチケットの購入方法など問い合わせが多く、反響があるという。ラストショーのみで観客動員数1万人を目標に据える。
同館スタッフの加茂亮介さんは「なるべく幅広く見ていただきたいと作品を選んだ。来館するのはシニア層が多く、若いころに見ていたような作品もあるので、その頃を思い出してもらえるのでは」と話す。「(閉館を)発表して以降、『なくなるんやんね』と言われるたびに苦しい思いもあるが、ラインシネマがなくなっても映画館で映画を見続けてほしい」とも。
同館では現在、来館者が書いた「好きな映画のタイトル」で壁を埋めつくす企画を行っており、壁面に順次タイトルを貼り出している。スタッフそれぞれが選ぶ「映画ベストテン」の発表や装飾など、ラストに向けさまざまな取り組みも展開する。
チケット料金は1,000円均一で、ドラえもんのみ500円。毎週水曜0時(火曜24時)から、翌金曜~翌週木曜までの上映分を販売する。