司馬遼太郎記念館（東大阪市下小阪3、TEL 06-6726-3860）の館内や周辺に1月25日、菜の花の鉢植えと切り花が飾られた。

ガラス回廊には指宿市から贈られた切り花を飾る

　司馬さんが野に咲く菜の花が好きだったこと、作品に「菜の花の沖」という小説があることなどから、2月12日の司馬さんの命日は「菜の花忌」と命名されている。同館では開館翌年の2002（平成14）年の命日前後に、ガラス回廊に菜の花の切り花を飾り始めた。「コンクリートの建物に黄色い花が映え、菜の花でこんなに記念館が明るくなるんだと思った。周辺にも菜の花を咲かせ、街への関心を呼び戻したい」という同館の提唱で、翌年から地域住民や事業者が協力。菜の花の輪は徐々に広がり、2004（平成16）年には「春一番の菜の花忌の会」を設立し、八戸ノ里と河内小阪両駅から同館までの道筋に「菜の花ロード」が誕生した。

　今年の参加団体は、自治会、学校、商店街、大阪府、東大阪市、郵便局など42団体。菜の花の産地として知られ、同館と親交のある鹿児島県指宿市から贈られた切り花800本は現在、ガラス回廊に飾る。プランターや鉢植えは1700個ほどで、自主的に自宅前に菜の花を飾る住民も多く、実際はそれ以上の鉢やプランターが飾られている。現在、菜の花の開花状況は6分程度で、3月下旬ごろまで楽しめる。

　25日には、大阪府立布施高校の自治会に所属する生徒が同館を訪れ、司馬さんの書斎前にプランターを並べた。生徒らは昨年10月に種を植え、約40個のプランターや花壇で菜の花を育ててきたという。司馬さんの書斎前にプランターを設置した生徒たちは「運動を通して花に興味を持った」「鉢植えの置き方も工夫している。訪れる人にもきれいに見えたらいいな」などと笑顔で話した。

　館長の上村洋行さんは「菜の花を通じて街に関心を持ってほしいという思いで、この運動を始めた。ご近所同士の会話が生まれたり、子どもたちが大人になり、遠くに行っても菜の花のある街があったと故郷を思い出したりしてくれたら」と話す。

　2月12日14時からは、今年公開予定の映画「燃えよ剣」と「峠」をテーマに、司馬さんの人となりについて話す館長トークが開かれ、来館者に菜の花を進呈する。

　開館時間は10時～17時。月曜休館（祝日の場合は翌日）。入館料は、大人＝500円、中高生＝300円、小学生＝200円。