司馬遼太郎記念館(東大阪市下小阪3、TEL 06-6726-3860)で9月15日、企画展「歳三と竜馬はどこですれ違ったかー。『燃えよ剣』と『竜馬がゆく』」が始まった。
今回の展示は、昨年、「竜馬がゆく」第613回「片袖」の自筆原稿の寄贈を受けたことをきっかけに企画したもので、原稿には、新撰組副長の土方歳三らが土佐の坂本龍馬とすれ違うシーンが描かれている。歳三と龍馬は1835(天保6)年生まれの同い年、歳三の生涯を描いた「燃えよ剣」と、龍馬を主人公とする「竜馬がゆく」は、同じ1962(昭和37)年に週刊文春と産経新聞で連載されたことなど共通点があったことから、「2人がどのように歩みどう亡くなっていくのか、2人の生涯をピックアップする形で展示できないか」と企画した。
上村洋行館長によると司馬はあまり原稿に執着しておらず、文学館などに残っているものはあるが、「竜馬がゆくの原稿は世の中に存在しないと思っていた」という。これまでに見つかった別の原稿などは、一度破った後に貼り合わせたものだったが、今回展示する自筆原稿は破った跡もなくきれいな状態で受け取った。
同展では、司馬作品の中で二人がすれ違う場所を示した京都の地図を中心に、2つの小説の中の出来事と歴史的事実を並行して見せる大きな年表を展示。小説に関するものでは、寄贈を受けた自筆原稿のほか、司馬が龍馬の癖やしぐさなどを書き留めた取材ノート、「燃えよ剣」の中で歳三が読んでいた、幕府の陸軍所が刊行した「歩兵心得」、「竜馬がゆく」の中で龍馬が土佐の同志に見せた国際法の法律書「官版 万国公法」、取材時の写真などが並ぶ。
歴史に関するものでは、歳三と龍馬の肖像写真(複製)、歳三が姉の夫・佐藤彦五郎に宛てた書簡や、龍馬が姉の乙女に宛てた書簡を展示。
館内壁面では、「燃えよ剣」の歳三語録、「竜馬がゆく」の龍馬語録をパネルで紹介。司馬が両作品を連載していた時期に書いていたほかの作品も年表にまとめた。展示点数は、初公開4点を含む69点。
上村館長は「幕末の同時期に活動した二人の人物。二人の行動によってその時代にどんな影響を与えたのか、現代の自分たちが得るものがあるのか感じ取ってもらえたら」と話す。
11月1日14時からは開館19周年を記念して、上村館長が、「燃えよ剣」「竜馬がゆく」、司馬のことなどを話す館長トークを行う。参加無料(入館料別途)。電話かファクスで事前申し込みが必要。
開館時間は10時~17時。月曜、12月28日~来年1月4日は休館(9月21日は開館)。入館料は、大人=500円、中・高校生=300円、小学生=200円。来年3月14日まで。