近畿大学の学生が地域企業でのものづくり体験学習の成果を発表する「東大阪モノづくり体験塾」第4回フォーラムが10月24日、クリエイション・コア東大阪(東大阪市荒本北1)で開催された。
東大阪市内の工場密集地である高井田地区のものづくりを次世代に継承するため、高井田まちづくり協議会が2008(平成20)年に始めた「高井田モノづくり体験塾」を引き継ぎ、より広く東大阪から発信しようと2018(平成30)年に第1回を開催した。高校生と大学生を対象に、地域企業と住民、教育機関、行政などが交流することで、東大阪のものづくりの現場で活躍する人材を発掘し、地域企業の発展に貢献することを目的に取り組む。
今回のフォーラムは今春開催予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響により10月に延期。入場者数を制限し、ライブ配信も同時に行った。
東大阪モノづくり体験塾代表で近畿大学の西籔和明教授はフォーラム冒頭のあいさつで、「オンラインにすることで遠方からも参加いただいている。コロナによって新しい出会い、取り組みが始まっている」と話し、野田義和東大阪市長は「日本の繁栄を維持、発展するためには、日本人が考えて作ったものが世界で売れること。市の医工連携からできたもの、学生が参加し作り上げたものの努力と成功事例を共有することが繁栄につながる」と話した。
今年は、近畿大学理工学部の学生5人、文芸学部の学生5人が参加。学生の発表の前には、「大阪大学フェイスシールド量産プロジェクト」に協力した藤塚精密金型(御厨東)とモールドサポート(高井田中)の基調講演があり、6月末までに4社で20万個のフェースシールドのフレームを製作した過程を紹介した。
成果発表では学生それぞれが、研修先の事業、強み、体験内容を発表。研修先の事業は、精密部品加工やプラスチック射出成型、回路設計、基盤製作など多岐にわたり、文芸学部の学生はデザインを考案し、研修先企業と試作品を作る体験をした。参加した学生からは「授業で習っていたことがどう現場で生かされるか分からなかったが、実際に体験してみて分かった」「自分が考えたデザインが形になり、現場に設置までできて達成感があった」などの意見が聞かれた。
学生を受け入れた野田金属工業の山本秀雄社長は「今回は好きなものを作ることでアイデアが出てきて、想像以上のものができた喜びを感じてもらえたと思う。社会に出てからも思いを持ってやってもらえるように参加企業が協力するので、これからも学生さんにはぜひ参加をしてもらいたい」と話す。