東大阪市指定文化財の旧河澄家(東大阪市日下町7、TEL 072-984-1640)で11月13日、企画展示「河内木綿展」が始まった。
河内地方一帯では江戸時代から綿の栽培が行われ、1704年の大和川の付け替え以降は良質な綿が収穫されるようになった。糸が太く丈夫な河内木綿は全国に知られる一大産業となり、加工品の綿布に加え、実綿・繰(くり)綿が大量に出荷されるようになったが、明治時代に入って紡績機が導入されると安価で機械に適した輸入綿が使われるようになり、河内木綿は衰退した。
会場では、河内木綿の歴史や特徴、大蔵永常が書いた綿花栽培の技術書「綿圃(めんぽ)要務」を基にした綿の栽培方法、藍染の工程などを32枚のパネルで紹介。河内木綿の栽培に使う農具や、綿から綿布になるまでの工程で使用する道具など、30点を展示する。
今年の展示では、昨年9月に開館した東大阪市文化創造館(御厨南2)のDream House大ホールの壁面10カ所を飾る幅80センチ、長さ2.4メートルのタペストリー「河内木綿ウォール」を展示。同タペストリーは、大和川付け替え300年事業をきっかけに、河内木綿の再生に取り組む「河内木綿コットン・クラブ」が、石切劔箭(つるぎや)神社参道の「河内木綿はたおり工房」(東石切町)を拠点に、綿の栽培から収穫、製品加工までを手掛けた。タペストリーと共に、大阪商業大学商業史博物館(御厨栄町4)の収蔵資料にある「鶴丸牡丹唐草文様」を基に制作した藍染型紙を展示する。
学芸員の道岡陸哉さんは「現代に復活した河内木綿の傑作を見てほしい」と来場を呼び掛ける。
開館時間は9時30分~16時30分。月曜休館(祝日の場合は翌日)。12月13日まで。