東大阪市指定文化財の「旧河澄家」(東大阪市日下町7、TEL 072-984-1640)で3月13日、企画展示「陶芸展」が始まった。
東大阪出身の陶芸家・桜井智子さんは、帝塚山短期大学工芸美術史の授業で陶芸と出合い、坪井明日香さんに師事。1986(昭和61)年「第20回女流陶芸展」入選、1989(平成元)年「第23回女流陶芸展」毎日新聞社賞受賞の経歴を持つ。
1992(平成4)年には東大阪市・加納に窯を作り、2004(平成16)年には近鉄けいはんな線・新石切駅近くに石切工房・桜陶庵(おうとうあん)を開設。2017(平成29)年1月、現在の西石切町に移転した。女流陶芸展には毎年出品しており、2019年の「第53回女流陶芸展」では文部科学大臣賞を受賞した。
同館では毎年春に陶芸展を開いており、今年は桜井さんの作品1点と陶芸教室の生徒が作った抹茶茶わん74点を展示。昨年の展示期間中に茶席を設ける予定で抹茶茶わんをテーマに作品を作ったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、昨年の同展は中止。今年に持ち越した。
会場では、第53回女流陶芸展で文部科学大臣賞を受賞した桜井さんの作品「アオイトキ・アマイキオク」を展示。縦45センチ、幅44センチ、高さ10センチの作品で、桜井さんは「青春の遠い記憶と青かった自分を見つめ直すつもりで作った作品」という。生徒の作品については「抹茶茶わんには飲み終わったあと抹茶がたまる茶だまりがあり、高台はいろんな種類がある。色は抹茶の色が映えるものが良いが、重くても軽くても大きくても小さくても、形が変でも自分が気に入ったものが良いもの」と話す。会場内には、旧河澄家に残る茶道具も展示する。
同館の珠久真里子さんは「近くで一つずつ見たら面白く、桜井先生が、自分の好きなように、自分が納得いくように作ればいいと言っているのが伝わってくる。たくさんの色や形、種類があるので芸術の春を楽しんでほしい」と来館を呼び掛ける。
開館時間は9時30分~16時30分。月曜休館。入館無料。4月14日まで。