漫才コンビ「シャンプーハット」のてつじさんが企画するコメから日本酒を造るプロジェクト「米から日本酒を造る2021」の田植えが5月29日、東大阪市内の水田で行われた。
日本酒が好きで、田植えから始まる日本酒造りの全ての工程を体験して日本酒のすべてを知りたいと、てつじさんが2019年に始めた同プロジェクト。クラウドファンディングで資金と参加者を募り、田植え、稲刈り、精米、酒の仕込みなどすべての工程を体験し、出来上がった日本酒を皆で味わうところまでをプロジェクトとしている。
昨年も台風などの被害には遭わず、京都の与謝野酒造で酒を仕込み、4合瓶約700本が完成した。昨年同地で収穫した余剰米は北庄司酒造店(泉佐野市)が「純米生原酒 大阪産山田錦」として商品化し、東大阪市内では「酒のにしだ」(岩田町5)で販売している。
新型コロナウイルスの影響で今年の田植えイベントは中止となったが、関係者と有志が集まり、マスクを着用して少人数のグループに分け、酒米「山田錦」の苗を植えた。
てつじさんは「今年で3回目。日本酒を造って売ることを目的としておらず、日本酒ができるまでの過程をみんなで楽しむことにしている。コロナ禍で人と人がディスタンスで離れていく中、一緒に田植えをしたという共通の思い出ができるので、人が集まってくればいいと思う」と話す。今後は、日本酒を造るあらゆる工程をさらに行っていくという。
同プロジェクトで田んぼの管理と指導をする東大阪の農家・西田雄一郎さんは「東大阪の農業は、ブランドはないし、それほど盛んでもないが、こんなに楽しい体験ができるというのをアピールしようと、田んぼで遊んだり、田んぼの土でお皿やぐい呑みを作ったりすることもすべて農産物と捉えて取り組んでいる」と話す。昨年は、刈り取った稲わらを使った布染め体験や、しめ縄作りも行った。
てつじさんは京都の綾部で空き家再生プロジェクトも行っており、家でも職場でもない、「サードプレイス」づくりに取り組んでいる。「空き家がそうなればいいし、日本酒づくりもサードプレイスに近い。仕事でもないし、遊びでもなく、田んぼが、みんなで同じ思いを共有していくサードプレイスになれば」と笑顔を見せる。