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東大阪・旧河澄家で「昔の道具展」 江戸時代の蔵公開、ゆかりの人物も紹介

河澄家の茶の道具

河澄家の茶の道具

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 東大阪市指定文化財「旧河澄家」(東大阪市日下町7、TEL 072-984-1640)の蔵で6月22日、企画展「昔の道具展」が始まった。

石上露子直筆の書

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 展示会場の土蔵は5メートル×11メートル、切り妻造りの2階建てで、外側と内側に白漆喰(しっくい)が塗られており窓は6カ所。外からの光を最小限に抑える工夫がされている。江戸時代後期の「河澄家屋敷絵図」によると、この蔵は現在の位置になく、別の位置から動かされたものと考えられるという。蔵の公開は今回で4回目。

 同展では、河澄家の所蔵の品、約1200点のうち約110点を展示。手前のスペースでは、河内地方の庄屋の仕事、食、娯楽、生活に関連する所蔵品をまとめた。

 庄屋の役割として年貢の納入のほか、村人の健康管理などを行っていたことから、薬剤を砕く薬研(やげん)や薬だんすなどが並ぶ。食に関するものでは、祝い膳や重箱、弁当箱など、華やかな品も多い。娯楽に関するものでは、将棋盤や碁盤、百人一首や笛など、生活の品は、灯明道具や火鉢などを選んだ。

 奥のスペースでは、河澄家にゆかりのある人物に関する品を展示。富田林の豪商・杉山家に嫁いだ河澄家19代当主・雄次郎の娘・ナミの娘で、1882(明治15)年に生まれた石上露子(いそのかみつゆこ、本名=杉山孝)は、与謝野晶子や山川登美子らとともに「新詩社の五才女」と称された歌人。初恋の人に対するかなわぬ思いを詠んだ「小板橋」を発表した後、文学界から身を引いた。

 同展では、露子直筆の書や、露子が仲の良かったいとこの冬子に贈った杉材の小箱、冬子がその小箱にしまっていた鈴虫の姿が彫られた真竹製の帯留めなどを展示する。

 母屋西側に建てられた数奇屋風書院造りの建物「棲鶴楼(せいかくろう)」は、第15代当主・常之と親交が深かった国学者で文学者の上田秋成ら、文人が集う文芸サロンになっていたといい、秋成が目の療養で滞在した際にたしなんだ煎茶の道具や、棲鶴楼から枯山水庭園を眺めながら読んだ歌を紹介する。

 学芸員の道岡陸哉さんは「河澄家にゆかりのある人物を知ってほしい。コロナ禍の大変な時期なので、秋成のように棲鶴楼から庭を眺めていやされてほしい」と話す。

 開館時間は9時30分~16時30分。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入館無料。9月26日まで。

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