近鉄奈良線若江岩田駅近くの和菓子店「菓匠庵 白穂」(東大阪市若江本町1、TEL 06-6723-2075)が、令和4年度優良経営食料品小売店等表彰で最高賞の農林水産大臣賞を受賞した。
食品等流通合理化促進機構(東京都千代田区)が主催する同表彰は、各地域で優れた経営をしている食料品専門小売店や商店街のビジネスモデルを公開することで食料品小売店の経営に生かしてもらうことを目的に行っている。同機構の前身である食料品流通改善協会時代も含めると、令和4年度で46回目となる。
店舗設備の工夫、販売促進の手法、人材教育の取り組み、コスト削減などの経営ノウハウを、「業績向上に貢献しているか」「独創性に富み仕組みとして確立されているか」「広く普及できるビジネスモデルであるか」の3点を基準に審査した。今回は、65件の応募の中から農林水産大臣賞など6賞54店を表彰した。
東大阪市内で初めて農林水産大臣賞を受賞した「菓匠庵白穂」は、1981(昭和56)年に初代の新澤和義さんが創業。1998(平成10)年に和義さんが急死したため、高校卒業後、東京で和菓子の修業を始めて間もない当時19歳の長男・貴之さんが家業に戻り、母・秀子さんが代表を務めて貴之さんが和菓子製造を担当し、店を存続させた。2008(平成20)年には現在の場所に拡大移転し、2020年には石切に2号店を出店。2022年に法人化し、2人が共同代表となった。
同表彰では、地元食材を生かした和菓子作りにこだわり、これまで和菓子に使われてこなかった規格外のイチゴを使った「きっと日本一大きないちご大福」や、新玉ねぎを使う「新玉ねぎパイ」など、オンリーワンの和菓子を作り出している点、5年後を見据えて毎年1人の職人を増やしていくなど地域の雇用を生み出している点、機械の導入や包装方法の工夫などによる効率化などが評価につながった。
同機構の同事業担当者は「特に、従来の和菓子には使わないような物を使うなど既成概念にとらわれない商品開発力や、ビジネスモデルとして優れている点、地域への貢献度が評価された」と話す。
新澤貴之社長は「この賞に恥じぬよう、地域に貢献できるように頑張って、地元東大阪により深く根付いていけるような商売をしていきたい」と意欲を見せる。