東大阪市指定文化財の旧河澄家(東大阪市日下町7、TEL 072-984-1640)で現在、企画展「河内木綿展-幻とされた河内木綿を知り、今に継承する-」が開催されている。
河内地方一帯では400年前ごろから綿が栽培され、1704年の大和川付け替え後は、より広範囲で栽培・収穫されるようになり、綿布だけでなく、実綿や繰綿も売買の対象となった。同館のある日下地区は用水不足に悩む山里だったが、乾燥を好む綿の栽培には適しており、同地区でも綿が栽培されていた記録が残る。日下村では全耕地の32~38%が綿作で、近隣の地区と比べると少ない数字だが、農家は収穫した綿を売って銀で年貢を納めていたといい、米の2~3倍の収益が手元に残っていたという。
糸が太く丈夫な河内木綿は重宝されていたが、明治時代の文明開化により外国綿が輸入され、安価な糸が大量に出回るようになり、河内木綿は衰退していった。
同展では、河澄家と交野市教育委員会が所蔵する、河内木綿の製作に使用した民具を展示。実綿を綿と種に分ける綿くりから始まり、糸を紡ぐ際に用いる錘(つむ)、糸車、紡いだ糸を巻き取る綛(かせ)車など、製作工程に沿って順に並べる。河内木綿で作られた、河澄家に残る家紋入りの着物や風呂敷なども展示。
「河内木綿の歴史を振り返ることで当時の暮らしぶりが見えるのでは」と同館統括責任者の堀木昌彦さん。
11月13日13時~15時には、石切劔箭(いしきりつるぎや)神社参道の「河内木綿はたおり工房」による糸紡ぎ体験会も開催。小学生以上対象。申し込み方法はホームページで確認できる。
開館時間は9時30分~16時30分。入場無料。今月27日まで。