近鉄大阪線・長瀬駅近くの「長瀬の長屋」(東大阪市菱屋西1)で1月14日、近畿大学学生が主催するイベント「長屋でお餅つき」が開かれる。
近畿大学建築学部の学生サークル「建築研究会」の有志で結成した空き家ストックバンクプロジェクト「あきばこ家」が運営する「長瀬の長屋」。同プロジェクトでは放置されている空き家などを補修工事、リノベーションし、再利用化することで空き家問題の解決を目指している。
同長屋のオーナーは、西成・釜ヶ崎で学童保育、ファミリーホーム、子育て支援拠点事業などを展開する「こどもの里」理事長の荘保共子さん。荘保さんが長屋の活用について建築学部の寺川政司准教授に打診したことがきっかけとなり、再活用の検討が始まった。
同プロジェクトでは、地域住民や企業との話し合いの結果、「さまざまな世代の居場所を作る」ことを目的にリノベーションをする案をまとめ、2015年度の市のまちづくり活動助成金を申請。採択され、築85年の長屋の主要構造部を残して耐震性を持たせてリノベーションし、東側をイベントスペース付きの交流サロン、西側を学生用住宅とし、家賃収入の一部をサロンの運営費に充てることで継続できるよう計画を立てた。
完成した昨年6月からサロンの運営を始め、1カ月に1回、小学生を対象にしたイベントを自主開催。サロンはレンタルスペースとして1時間500円で貸し出しており、子育て中の母親を対象にしたヨガ教室やフリーマーケットなどが開かれている。昨年10月からはイベント開催日以外にも開放する日を決め、高齢者や子育て世代の話を聞く場を設けている。
1月14日の10時~14時にはイベント「長屋でお餅つき」を開催。100食分を用意し、なくなり次第終了。参加無料。参加者は餅つき体験もできる。
入学した翌月にプロジェクトが始まり、現在3年生であきばこ家代表を務める松浦遼さんは、「最初は地域とどう関わればいいか分からず、町会長さんに怒られたりもした。学生にできる訳がないと言われたこともあり、不安で辞めていったメンバーもいた」と発足当時を振り返る。
計画段階では「こんな施設、誰が使うのか」と言われていたが、建物が完成に近づくにつれ「いつできるのか」「どうやったら使えるのか」などの声が増えていった。最近では「告知するから早くチラシ持ってきて」など応援してくれる店舗も増え、今回の餅つきの杵と臼も地域の人が貸してくれたという。
同施設ができて以降、商店街の改修や4軒つづきの長屋のリノベーションの依頼もきた。「人や街が変わっていく姿など学校では学べない経験をした。学生の体験の場だけでなく、地域が変われる場になれれば。まだ認知度が低いのでまずは地域の人に知ってもらい、今は研究会として活動しているが法人化に向けて調整を進めていきたい」と意気込みを見せる。