東大阪市都市魅力産業スポーツ部モノづくり支援室が現在、市内ものづくり企業が医療従事者や新型コロナウイルス感染拡大防止のために開発した商品を掲載した冊子を制作している。
東大阪市は2016(平成28)年、市内製造業の健康・医療分野への参入促進を目的とした医工連携プロジェクトをスタート。医療、健康、介護機器分野で実績のある企業や参入に意欲的なものづくり企業で構成する「東大阪市医工連携研究会」には、現在51社が登録しており、これまで、医療機器メーカーとのネットワーク構築や医療機器関連の展示会の合同出展、医療機器ビジネス参入のための人材育成などを行ってきた。
新型コロナウイルス感染症が拡大した4月~6月、同プロジェクトへの問い合わせは例年の約3倍に増えた。医療現場だけでなく、人と接する店舗や窓口業務のある施設、学校などもあり、保育の現場からは「口が見えないと会話が伝わりにくいので透明のシールドはないか」などと問い合わせがあった。モノづくり支援室では「市内のものづくり企業はコロナ禍の中、個々の企業が大変な状況の中で、いち早く、医療従事者のために何かできないか、感染拡大防止のために役に立つことができないかと活動しているので、頑張っている企業の情報を発信できないか」と、新型コロナ対策関連商品の情報収集を始めた。
冊子に掲載する商品は、アクリル製エアロゾルボックスやオゾンガス消毒器、フェースシールドなど医療用のものから、飛沫(ひまつ)感染防止パーティション、除菌スプレー用スタンド、ドアオープナーやマスクケースなどの雑貨まで幅広く、開発企業はこれまで医療分野に関わりのないところも多い。掲載は、東大阪市内に事業所のあるものづくり企業が、企画、設計、開発、製造のいずれかを担った商品で、担当者の名前や連絡先を掲載し、直接購入や問い合わせができるようにした。7月30日現在、38商品が掲載されている。
情報は地域の医師会や医療機関、関西医療機器産業支援ネットワーク、医療、健康、介護機器関連企業、市教育委員会、危機管理部門、福祉部門、市小売商業団体連合会などに発信し、今後、市が医療や感染対策関連の展示会などに出展して販売促進のサポートをする。
モノづくり支援室の辻双九さんは「これだけすぐに商品ができるのは、経験豊富でさまざまな問題を解決してきたものづくりの地域ならでは。日本の医療物資は海外のものが多く、国内でも作っているということを知ってもらいたい」と話す。
モノづくり支援室では随時、冊子掲載企業を募集する。