見る・遊ぶ

東大阪市民美術センターで特別展「視覚の迷宮」 他者や犬の目線で作品鑑賞

作家の杉山健司さん(写真左)と浅田泰子さん(同右)

作家の杉山健司さん(写真左)と浅田泰子さん(同右)

  • 37

  •  

 特別展「視覚の迷宮 ヒトとイヌの美術館」が現在、東大阪市民美術センター(東大阪市吉田6、TEL 072-964-1313)で開催されている。

箱状の作品の中に奥行きのある世界が広がる

[広告]

 国内外で活動する現代アート作家の杉山健司さん・浅田泰子さん夫婦による2人展。それぞれ個人の作家として活動しており、今回は2人で一つの展覧会を作り上げた。夫婦での企画展は今回が7回目。「お互いに考えていることが分かっているから合わせて作品を作ることができる。それぞれのバランスが絡まって迷宮感が出せた」と浅田さん。大阪での開催は今回が初めて。第1~第3展示室、特別室、常設スペースと、全館を使って作品を展示する。

 展示室入り口には奥行き40センチほどの箱の中に美術館を作り出した作品を展示。美術館に展示する小さな作品は杉山さん自身の過去の作品や展覧会のDM、フライヤーなどで、鏡などを使い、見る人がミニチュアの美術館に入ってきたような見え方を体験できる。会場を奥に進むと入り口で見たミニチュア美術館の様子が目の前に広がり、設置した人型パネルの目の高さからのぞくことで普段とは違う視点で作品を楽しむことができる。

 杉山さんは大学卒業後、大規模なインスタレーション作品を手がけてきたが、「人と一緒に作品を作るのが苦手で、一人で作品を作りたいと思うようになった」という。1998(平成10)年のカナダ滞在時にパスタを食べ、その空き箱を美術館に見立てて自身の過去の作品を小さくして配置した「Institute of Intimate Museums(親密な美術館)」を制作したのがシリーズ最初の作品となった。同展では、目玉やマスクの中に立体の世界が広がる作品を展示する。

 杉山さんは「僕の作品は、のぞいたり体を動かして入って見たり。わぁ、すごいと思ってくれたら。全部がつながるように作っているので細かく見てほしい」と話す。

 パスタの空き箱を使った作品の向いにある壁には、菓子などの空き箱をキャンバスに描いた浅田さんの作品が並ぶ。浅田さんは「子どもがまだ小さく、大きいキャンバスを使う作品を作るのは無理だったので、1日1個、日記のように作った。見た人に『これ知ってる、いつまでも見ていたい』と思ってもらえたら」と話す。

 「イヌのための美術館」としたエリアには、浅田さんが絵を描くために陶器の作品を作り、自身ですいた和紙に陶器を見ながら描いたという絵画作品を展示。犬が作品を鑑賞するような同エリアには、犬の目線に合わせて低く作品を展示している。

 5月13日・21日は学芸員によるギャラリートーク、5月20日・31日は2歳までの乳幼児と保護者向けのギャラリーツアー、5月中の土曜・日曜・祝日は謎解きゲームを行う。

 開催時間は10時~17時(5月19日は20時まで)。月曜休館。観覧料=500円(高校生以下、障害者手帳所持者、東大阪市内在住65歳以上無料)。6月11日まで。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース