「第1回東大阪市オリジナル市民ミュージカル『100 - ONE hundred(ワンハンドレッド)』」の制作発表が5月29日、東大阪市文化創造館(東大阪市御厨南2)で行われた。
企画・演出は、同施設のハードとソフト両面に関わるプロデューサーで演出家の阪本洋三さん。脚本は、ドラマ「おっさんずラブ」「私の家政婦ナギサさん」「unknown」などを手がけた徳尾浩司さん、音楽は、舞台音楽やテレビドラマの作曲・編曲、演奏活動を行う宮川彬良さんが担当する。
東大阪の名所・旧跡が舞台となる同作品は、「映画監督の夢を抱いて東京に出ていた東城充(みつる)が、父が倒れたという知らせを聞き、東大阪に戻った。父は100年続く町工場を継いでほしいと思っているが、充とはうまくいかない。充はある日、生駒トンネルに出現した電車に乗り込み、100年前にタイムスリップする。そこはかつて存在した映画撮影所だった…」という物語。
徳尾さんは「この5年間でいろいろ取材をして、金網工場や旧生駒トンネル、映画の撮影所跡などを見て、100年前の東大阪と今の東大阪を行き来する物語、未来へつながる物語を作ったら面白いのではと発想した。100年前もちょうどスペイン風邪がはやっていて、(コロナ禍の今と)たぶん同じようなことで人々は悩んでいたし、そこを乗り越えて今につながっているので、共通するものがあるのでは、と物語を作り始めた。ロマンチックコメディー・ミュージカル、大阪らしさを大事に、笑って見られるようなポップなミュージカルになれば」と明かす。
宮川さんは「近畿大学に出向き吹奏楽部で教えたり、この会館のオープニングの出し物として近大吹奏楽部の指揮をしたりした。そういう小さなご縁が集積して、直感でこれは何かあるなと感じた。町工場が舞台のミュージカルで、トンネルを潜ったらそこは過去で、映画の撮影所が本当にあったというお膳立てが出来上がっていて、自分でなければできない、東大阪でなければできない、このメンバーでなければできないものがあるなと感じている」と話す。曲数は15曲程度で、「河内音頭のような、大阪のファンキーな曲」(宮川さん)を予定しているという。
阪本さんは「ウイルスの世界的大流行、戦争、自然災害など日常が脅かされるようなことが多い中で、文化ってなんだろう、人々が生きるってどういうことだろう、日常ってどれだけ大切なものだろう、というようなことを考えられるようなものにしていきたい。キャラクターを通じて、『挑戦する人、新しいものを作るという意識を持っている人』が多い東大阪の街の文化を伝えていけたら」と話す。
同施設では昨年12月から出演者を募集し、現在9歳から80歳までの62人が参加している。ミュージカルのプロはいないという。4月から稽古が始まり、阪本さんは「現在は、演技や歌、ダンスの基礎練習をしており、皆さんのやる気、熱がすごく、いつの間にかみんな仲良くなっていて不思議。人情味にあふれていて、なんでもチャレンジしたいというノリがいい。上演は3年に1回だが、発展系でどんどん良くしていくことを目指して5~6年は続けていきたい」と意欲を見せる。
11月26日、14時開演。会場は東大阪市文化創造館Dream House大ホール。