企画展「下村優介 切り絵の世界~紙と生命の境界線~」が4月23日、東大阪市民美術センター(東大阪市吉田6、TEL 072-964-1313)で始まった。
現代切り絵作家の下村優介さんは、1988(昭和63)年大阪市生まれ。中学から大学までの10年間ラグビーを続け、卒業後は行きつけのラーメン店でアルバイトを始めた。下村さんは「就職活動がうまくいってなかった時に相談に乗ってくれたラーメン店の店主に、子どもの頃から絵を描くのが好きで芸術系に進みたいと話をしたら、うちで働きながらチャレンジしたらと言ってもらえた。1年くらい働いた頃にやりたいジャンルを聞かれたが決まっておらず、切り絵をやっている人は少ないからやってみたら?と言われ、取りあえずやってみたらはまってしまった」と振り返る。
第2展示室の入り口には、緻密で繊細な額装作品が並ぶ。「一枚の紙に全部の線がつながるように下絵を描き、線を切り出して作品にしている。カッターだからできることがあり、しっかり切り抜いたというところを見せたいので、少し影が出るような額装作品にしている」と下村さん。「切る密度を変え、質感や境界線を分けて立体感を出している」と話す。
続く展示スペースでは、下村さんが得意だという空間を使った作品を展示。自作の32面体の木枠の中に、動物の動きを表現したいと切った130羽のハトの切り絵を展示している。「切り絵の展示に額や壁が必要かという疑問から、額から飛び出したような作品展示をしたいと思った。ばたばたと動き回っている生き物で人の生活に近く、集団でいてもおかしくないことからハトをモチーフに選んだ。額に入れていると一方向からしか作品を見られないが、360度見られるようにした作品」と話す。作品の周りには下村さんが訪れた世界の風景の切り絵作品を飾る。
第1展示室では、木枠から解き放たれたハトを表現した作品を展示。「天井からてぐすを下げ、一羽一羽切り絵を結び付けて展示をしている。どの角度から見ても平面的にならないように、立体的な視覚を意識して作っている」と話す。作品の周りには、大阪や京都などの風景作品が並ぶ。
下村さんは活動範囲を海外にも広げ、米国や欧州でも切り絵教室を開催している。第3展示室では、今回の企画展のために東大阪で開催した切り絵教室で参加者が作った作品と下村さんの作品を合わせて展示する。
4月29日は14時から下村さんによるギャラリートーク、5月2日は10時と14時からトライくんの切り絵を作る切り絵教室を開く。切り絵教室は、カッターが使える小学校中学年程度以上が対象。参加費は500円。要事前申し込み。3日~6日、9日、10日は在廊し、公開制作を行う。
下村さんは「自分の人格形成にはラグビーがあるので、何か恩返しがしたいと思っていた。切り絵でこの花園に帰ってこられたのは感慨深い。切り絵というと曲芸的なものを想像する人が多いが、アートのジャンルとして、額装だけでなく、こういう見せ方があると知ってほしい」と話す。
開館時間は10時~17時。5月7日休館。入場無料。5月10日まで。