東大阪のラーメンスープ販売専門店「ら道本店」が2月1日、出店9周年を迎えた。

同店で提供する「らーめん」

　「保険会社の仕事をしながら、『ら道めぐり』と題してラーメン店めぐりをしていた」という代表の水谷寿志さんは「ラーメン好きで突き抜けた人は、ラーメン屋さんを開くかラーメンブロガーになったりする人が多いが、ラーメン好きが高じてラーメンスープをどこまで突き詰められるか挑戦したいと、自宅でスープの試作を始めた」と話す。

　スープがうまくできた時には近所の人や友人に分け、そのうちに作る量が増えたことから、仕事関係の人に借りたスペースでスープを作るようになった。その後、ラーメンスープ工房を開こうと、東大阪市内の親戚が所有する文化住宅の1室を借り、2014（平成26）年2月1日、ラーメンスープ販売専門店を現在の場所に開き、通販を始めた。

　工房のオープンをフェイスブックに投稿したところ、「そこでラーメンを食べられるかという問い合わせがあった」といい、「忙しく黙ってラーメンを出すより、来てくれた人のお名前をお呼びしてラーメンの話をしながらゆっくり食べてもらいたい」と、保険の仕事を終えた後、フェイスブックで友だちになっている人だけに来てもらおうと、1日1組限定で予約を取るようになった。2015（平成27）年にはテレビ番組で1日1組だけの完全予約制ラーメン店と紹介され、予約が殺到し、店内でのラーメン提供は6年待ちになった。現在は飲食スペースを1室増やし、1日2組（各組4人～8人）限定、来店は4年待ちとなっている。住所非公開で電話はなく、連絡方法は同店のフェイスブックページに掲載する。

　いろいろな店を食べ歩き、自身のランク付けの中で上位に豚骨ラーメンが多かったことから、同店のラーメンスープは豚骨1種類のみ。下処理に時間をかけ、野菜と果物を同時に煮込んで臭みのないスープに仕上げる。「締めにご飯を入れてリゾット風に食べるのもお薦め」と水谷さん。店内メニューは、らーめん（1,089円）、替え玉（170円）、ご飯（203円）。持ち帰り用の冷凍スープ（756円）、麺（167円）も販売する。

　通販、店頭販売、イートインのほか、同店の味を気に入った利用客が現在、堺市と大阪市内で同店のスープを使って店内でラーメンを提供するのれん分け店を営業。同店の利用客が営業するスープ販売所は5店舗あり、阪神梅田本店やmenjoyなどの提携店でもスープを販売。東大阪市のふるさと納税の返礼品にも選ばれている。

　水谷さんは「ご近所のことを考えるとなかなか踏み出せないが、いつか1日限定で予約なしの営業をしてみるのも面白いかも」と笑顔を見せる。