企画展「愉(たの)しい悪癖-田辺聖子の読書のすすめ-」が現在、大阪樟蔭女子大学田辺聖子文学館(東大阪市菱屋西4、TEL 06-7506-9334)で行われている。
6月10日の開館記念日に合わせて企画した同展。幼少期から活字中毒だったという田辺聖子さんの読書体験や読書奨励に関するエッセーや直筆原稿など、25点の資料を展示する。
少女時代の読書の思い出を紹介するコーナーでは、後に少女時代を振り返って書かれたエッセーを紹介。各界著名人の読書体験などを収録した岩波文庫編集部「読書のすすめ」に掲載された「読書のたのしみ」には、高等女学校3年生ごろに吉川英治の「宮本武蔵」を読んでいて、どうしても次の巻が読みたい田辺さんが「参考書を買いに行く」と夜に家を出て古本屋に行くというエピソードが綴られている。フォトエッセー「田辺写真館なるものありき 連載第1回 子守サン」には、本を握りしめている3、4歳ころの田辺さんの姿が映っている写真が掲載されている。
読書をすすめるコーナーでは、樟蔭学園70周年記念誌への寄稿を依頼した際に田辺さんが在校生のために書いた「若い後輩へ-読書のすすめ」の直筆原稿を展示。読書は「いったん知ると、やめられない悪癖なんです。それも『愉しい悪癖』」などと書かれた6枚の原稿で、読書の魅力を語りかけるように書いている。月刊誌「MISS」に連載された語りおろし「まいにちごきげんさん 第9回 好きなものには溺れよ」では、戦時中も童話や吉屋信子さんの小説を読み続け、いつかあんな小説を自分も書きたいと思ったと語られている。
田辺さんが好きな本に触れているエッセーを紹介するコーナーでは、田辺さんと夫の日常を描いた「カモカのおっちゃんシリーズ」の中で、読んだ本について書いている「妻の復讐」の直筆原稿を初展示。このほか、田辺さんが吉川英治や樋口一葉、吉屋信子、フランスの作家コレットを紹介しているエッセーを掲載する本を集めた。
古典を紹介するコーナーでは、田辺さんが終戦直後の通学・通勤電車で古典の文庫本を読んだ思い出が書かれている「私と古典-通勤電車での乱読が-」や、古典を紹介するエッセー「文車日記」の初出紙スクラップブックなどを展示する。
同館学芸員の住友元美さんは「今やっておけばというものの中に読書を位置付ければ人生が変わるというメッセージが込められている。読書のすすめの原稿は、編集の手が入っていない、田辺さんの文字で書かれた文章が読めるので、全文読んでほしい」と話す。
開館時間は9時~16時。日曜・祝日休館。入館無料。6月30日まで。