プレスリリース

【事後レポート】大阪府における再エネ利用をどう促進するか―脱炭素・ESG経営に取り組む中小企業の現在地

リリース発行企業:株式会社ディエスジャパン

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2026年8月27日、Blooming Campにて、一般社団法人OSAKAゼロカーボン・スマートシティ・ファウンデーション(以下、OZCaF)の「設立5周年記念フォーラム」が開催されました。

トークセッションでは、「大阪府における再エネ利用の促進について」をテーマに、大阪府 環境農林水産部 副理事の橋田学氏、株式会社UPDATER 代表取締役社長の大石英司氏、株式会社ディエスジャパン 代表取締役社長の北條陽子が登壇。大阪府が進める再エネ電力調達マッチング事業や、企業における再エネ導入、脱炭素経営の実践について意見を交わしました。

また、後半ではディエスジャパンと朝日広告社が共同開発した新サービス「Smart Narrative(スマートナラティブ)」を紹介。本レポートでは、北條の発言を中心に、当社が脱炭素に取り組んできた歩みと、中小企業のESG経営を支援する新たな取り組みについて、当日の模様を抜粋してお届けします。

トークセッション「大阪府における再エネ利用の促進について」




【登壇者】
大阪府 環境農林水産部 副理事 橋田 学
株式会社UPDATER 代表取締役社長 大石 英司
株式会社ディエスジャパン 代表取締役社長 北條 陽子
【司会進行】
OZCaF 由比 達也

今回のセッションでは、官民それぞれの立場から、再エネ利用の促進について意見を交わしました。当社代表取締役社長の北條からは、脱炭素に取り組み始めた経緯から、排出量の見える化、再エネ電力の導入、社内や地域への広がりまで、これまでの歩みを紹介しました。

プリントソリューションから環境・脱炭素支援へ

本日は暑い中お集まりいただきまして、ありがとうございます。東大阪で41年目を迎えるディエスジャパンの北條と申します。本社は東大阪にあり、全国40拠点で営業展開しています。






主力事業はプリントソリューションで、お客様の印刷コストの見直しや、快適に印刷できる環境をご提供しています。ここ10年ほどは、オフィスのお困りごとへのご提案や、機器のメンテナンスなどにも事業を広げてきました。
もともと当社は、環境にやさしいリユーストナーの製造・販売からスタートした会社です。そのため、会社の方向性としても、これから環境や脱炭素に取り組んでいこうとする企業のお手伝いをしていけたらと考え、ここ数年は環境事業を前面に押し出しています。

コロナ禍で印刷量が15%減。「会社の当たり前」を見直し脱炭素へ




当社が脱炭素の取り組みを始めたきっかけは、コロナ禍でした。もともと印刷を主力事業としてきましたが、コロナ禍を経て印刷量が一気に15%減り、2019年から2020年ごろには会社の存続の危機ともいえる状況になりました。

それを機に、会社として一度立ち止まり、これまでのやり方を見直すことにしました。会社の中でこれまで当たり前だったことをすべて見直していこうと、社内の有志数名でプロジェクトを立ち上げたんです。

同時に環境分野での事業も模索していたのですが、「事業として展開する前に、まずどれくらいCO2を排出していて、どれくらい減らせるのか。まず自分たちが取り組まないとダメだよね」という話になりました。

そこから2年ほどかけて計画を進め、中期経営計画の中で、2050年にCO2排出量ゼロを達成しようと、「SUSTAINABLE FUTURE 2050」プロジェクトを立ち上げました。

プロジェクトでは自らが「環境負荷フリーの企業になる」ことを宣言するとともに、グリーンハウスガス(GHG)・環境負荷フリーの企業活動を柱としています。その1つとしてSBT(Science Based Targets:パリ協定が求める水準と整合した温室効果ガス削減目標)認定の取得を目指しました。まずは自分たちの排出量を見える化して、どこがネックになっているのかを知ることから始めたんです。

排出量を算出してみると、想定していたところとは違うところに排出量の要因があることが分かりました。特に大きかったのが、電力由来の排出量です。また、全国40拠点で展開しているため営業車も多く、物流のあり方や走行距離の見直しなど、いろいろな課題も見えてきました。見える化したことで、「じゃあ、こういうことができるよね」という具体的な取り組みも見えてきたんです。

そこからSBT認定取得に向けて計画を進め、2024年に無事認定を取得しました。SBTの基準に沿った短期目標として、2030年までに温室効果ガス排出量を2021年度比42%削減する目標を掲げ、取り組みを進めています。

当時は私たちも「環境」「脱炭素」と言ってはいたものの、知識はまだ素人レベルでした。まずは「大型拠点に太陽光を載せるのがいいのかな」「補助金はあるのかな」といったところからいろいろと調べて、最も規模が大きい群馬工場に太陽光発電設備や蓄電池を導入しました。

そこから、排出量の多くを占めていた電力そのものについても、見直しを進めることにしました。当時から「再エネ」や「新電力」という言葉はニュースなどでよく耳にしていたものの、どこか他人事のように思えて、スルーしていたような感じだったんです。

でも、排出量を減らしていくためには、いよいよ自社でも再エネに取り組む必要があると考えるようになりました。詳しい方に話を聞いていく中でつながったのが、今回のマッチング事業でも支援事業者を務める株式会社UPDATERの大石社長です。

大石社長から伺った「顔の見える電力」や、再エネ率100%という質の高い再エネに非常に感銘を受け、「当社の40拠点も計画的に再エネ電力へ切り替えていこう」と計画を立てました。

再エネ導入で電力由来の排出量を23.9%削減

再エネ電力への切り替えを決めたものの、社内からは消極的な声もあり、思うようには進みませんでした。それでも「もう今のうちにやっておこうよ!」と話をして、まずは一番電力使用量の多い大型拠点から電力を見直すことにしました。



どの拠点でどれくらい電力を使い、CO2を排出しているのかを可視化したことで、どこから取り組むべきか、具体的な順序も見えてきました。そこで、まず群馬工場、次に福岡工場、そして東大阪の本社と、優先順位をつけて再エネ電力への切り替えを進めています。ここ数年で切り替えたのは、全国40拠点のうちまだ3拠点ですが、それだけでも大きな効果が表れました。なんと、電力由来の温室効果ガス排出量を23.9%削減することができたんです。



実際に電力を切り替えたことで、「残りの拠点も進めていけば、目標は達成できそうだな」ということが見えてきました。

今は全社を巻き込んで取り組んでいます。私が従業員に話をする機会にも、「電力を切り替えることで、これだけCO2が減っています」ということには常に触れていますし、社内にも掲示しています。その結果、みんなの電力に対する意識もすごく高まってきました。

「せっかく再エネを使っているんだから、無駄な電気は消そう」といった細かな意識も従業員の中に芽生えてきています。そういう意味でも、取り組んで良かったと思っています。

再エネを自社の強みに。東大阪から地域にも広げたい

これからは、「再エネ100%を達成している会社が作ったサービスや商品です」ということを、もっと打ち出していきたいと思っています。環境分野で事業を展開していくうえで、それが自社のブランディングにもつながると考えています。

さらに、地域にも再エネの取り組みを広げていけたらと思っています。「顔の見える電力」ということで、東大阪の本社では、東大阪で作られた再エネ電力を採用しています。街のおっちゃん、おばちゃんが噂して、「再エネって東大阪にもあるんやな。ほな、うちもやろうかな」と。そんなふうに、地域に再エネが広がっていくきっかけ作りに、少しでも貢献できたらいいですね。

脱炭素への取り組みを「いつか」から「今」へ

「脱炭素に取り組みたいけれど、何から始めればいいか分からない」という企業の方に、とにかくおすすめしたいのは、まず自社の排出量を見える化してみることです。

実は当社も、以前に再エネの導入を検討したことがあったんですよ。でも、価格を比較して「あんまり変わらへんねんな。ほんなら今じゃなくていいか」と見送っていました。価格がネックになって二の足を踏んでいる企業さんは多いと思いますし、当社もその一社だったんです。

それに、いざ取り組もうとしても、すんなり進むとは限りません。先ほどお話しした再エネ電力への切り替えもそうですが、会社の効率化を進めたり、これまでのやり方を見直したりするときには、どうしても変えることに抵抗を感じる従業員もいました。

でも、実際に取り組んでみると、従業員の意識はすごく変わりました。今は「2030年までに温室効果ガス排出量を42%減らそう」「未来の子どもたちのためにも、環境に良いことをしていこう」という共通の目標があります。その目標を共有することで、積極的に取り組んでくれる仲間も社内に増えていきました。

当社には300名ほどの従業員がいて、全国に数万社のお客様がいます。自社の取り組みをきちんとお客様にも伝えていく中で、従業員を通じて各地域のお客様にもこうした取り組みが広がっていけばいいなと思っています。

まずはできることから。中小企業の脱炭素を前へ進めたい

私はOZCaFの「見える化プロジェクト」のリーダーとして、ここ数年、主に中小企業の皆さんから脱炭素に関するご相談を受けてきました。直近1年だけでも、相談件数は約1,000件にのぼります。

ご相談を受ける中で感じるのは、「何からやっていいか分からない」「うちにはまだちょっと早いかな」と、なかなか最初の一歩を踏み出せない企業さんが多いということです。

私たち自身も中小企業の一社として、同じように迷いながら取り組みを始めました。まず自社の排出量を見える化したことが一つのきっかけになって、何が課題なのか、何から取り組むべきなのかが見えてきたんです。

だから、やるべきことが見えてきたら、費用がかからず、簡単に取り組めるものから手をつけていけばいい。その第一歩を踏み出すことが、非常に大事だと思っています。

一方で、私たち民間企業の活動だけで、こうした取り組みを広げていくのは難しいところもあります。企業の皆さんからは、補助金や自治体の支援を求める声も多く聞きます。

だからこそ、行政とも連携しながら、一緒に取り組みを広げていけたらと思っています。大阪府「再エネ電力調達マッチング事業」参画事業者に認定いただけたことも、本当に嬉しいですね。

ディエスジャパン×朝日広告社が共同開発 中小企業のESG経営を支援する「Smart Narrative」

ディエスジャパンと朝日広告社による事業紹介プレゼンテーションでは、当社代表取締役社長の北條と朝日広告社の上田氏が、両社で共同開発した新サービス「Smart Narrative(スマートナラティブ)」について、開発の背景やサービスの特徴を紹介しました。



中小企業が直面する、ESG経営と情報開示のハードル

先ほどもお話ししたように、多くの企業の皆さんと環境への取り組みについて対話を重ねる中で、脱炭素だけでなく、ESG経営についても課題を抱えている企業さんが多いことが見えてきました。



「ESG」という言葉自体はよく聞くようになりましたし、「取り組んでいかなければ」とは考えるものの、脱炭素と同じように「何から始めればいいのか」「自社だけで取り組むのはハードルが高い」と感じている企業さんがたくさんいらっしゃいます。

また近年では、取引先からESGに関する情報開示を求められる場面も増えています。ホームページなどでSDGsとひもづけて自社の取り組みを発信している企業さんも多くありますが、実際にお話を聞くと、「果たして、これがESGの取り組みとして正しいのか分からない」という声もよく聞きます。

専門部署を設けたり、専門のコンサルタントに相談したりするとなると、費用も時間もかかります。そこで、特に中小企業の皆さんが、自社で取り組んでいることを可視化し、分かりやすく伝えるところまでサポートできないか。そんな課題意識から、朝日広告社さんと「Smart Narrative」の開発を始めました。

データと「伝える力」を組み合わせた「Smart Narrative」




「Smart Narrative」は、根拠のあるデータをもとに、AIを活用してサステナビリティレポートを生成するサービスです。大きく3つの特徴があります。

1つ目は、ESG評価プラットフォーム「Synesgy(シネスジー)」による評価です。企業のESGに関する取り組みをスコアリングし、その結果をレポート作成の基礎データとして活用します。

2つ目は、当社が提供するCO2排出量算定ツール「ファストカーボン」です。専門的な知識がなくても、企業が持っている会計データを活用してCO2排出量を算定できます。

そして3つ目が、「どう伝えるか」という部分です。ここが非常に肝心だと思っています。Synesgyとファストカーボンによって、根拠となる定量的なデータを取得することはできます。でも、数字を並べるだけでは、自社が何を考え、どんな取り組みをしているのかまではなかなか伝わりません。

そこで力を発揮するのが、今回共同開発した朝日広告社さんです。広告やPRのプロとしての知見を生かし、AIで生成したレポートをベースに、企業の取り組みや思いまで「伝わる」形に仕上げていきます。

レポートにすることで伝わる、自社の思い




実際にレポートが完成して、改めて感じたことがあります。私も「東大阪のおばちゃん社長」なので(笑)、伝えたいことは一生懸命、力を入れて話すんですけど、口下手なところもあって、うまく伝わっていないことも結構あるんです。

自社の取り組みをお取引先や従業員に伝えるとき、自分の言葉で伝えることはもちろん大事です。でも、伝えたいことをきちんと整理して、分かりやすいレポートにすることで、より伝わるようになる。実際にこのレポートを作ってみて、そのことをすごく感じました。

ESG経営の第一歩は「見える化」から

脱炭素と同じで、ESGの取り組みも、最初の一歩を踏み出すのはハードルが高いと思います。でも、まずは自社の取り組みを見える化するところからスタートできるのではないでしょうか。

当社でも、2〜3年前にSynesgyの評価にトライし、マテリアリティ(重要課題)の特定を行いました。実際に取り組んでみて、その重要性を感じています。

だからこそ、「伝える」ところまで難しく考えすぎず、まずは第一歩を踏み出していただきたい。先ほどのお話にもありましたが、「面白く、お得に、安く」というところも大切にしながら、大企業だけでなく、中小企業の皆さんにも広く取り組んでいただけるサービスにしていきたいと思っています。