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東大阪市民美術センターで特別展「ひみつの花園」 現代美術作家5人の作品展示

特別室に展示する渡辺英司さんの作品「名称の庭/花園」

特別室に展示する渡辺英司さんの作品「名称の庭/花園」

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 東大阪市民美術センター(東大阪市吉田6、TEL 072-964-1313)で5月4日、特別展「ひみつの花園-Our secret flower garden -」が始まった。

大塚泰子さんの作品「colorless」「水の彫刻」

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 同センター学芸員の田中由紀子さんが「東大阪の人は『花園』といえばラグビー場を想像すると思うが、地名なので庭園や花畑がかつてはあったのでは」と、地名の由来を考えたことから企画した同展。田中さんは「河内花園駅の南側には『花園』と付く町名があり、花園本町にある津原神社周辺で花の栽培が行われていたという言い伝えがある。あったはずの花園に思いをはせ、現代美術作品でよみがえらせようと企画した」と話す。

 同展は昨春開催する予定で、設営まで終わっていたが、新型コロナウイルス感染拡大により緊急事態宣言が発令されたため、開催できずにいた。

 同展では、今村文さん、大塚泰子さん、奥田美樹さん、山田純嗣さん、渡辺英司さんの5人の作品を紹介する。会場入り口近くのスペースには、図鑑から切り抜いたチョウを壁一面に配置した渡辺さんのインスタレーション作品を展示。渡辺さんは「花にはチョウがやってくるということで、昨年よりバージョンアップして図鑑から切り抜いたチョウを配置した。観察者が発見して名前を付けて収集して本になったチョウを解放した作品」と解説する。

 「色」がテーマの大塚さんの作品「colorless」は、一見白いキャンバスで何も描いていないように見えるが、クリアメディウムで花を描いているという。四角い木材に水色のオイルパステルで色を付けただけの対照的な作品「水の彫刻」とともに展示し、「色」を意識させるスペースとした。

 水彩で描いた花を切り取って画面上に重ねたコラージュ作品を展示する今村さんは「人間は思うように腕を延ばしたりできないが、植物は枝を伸ばしたり葉を増やしたりできる。植物を使って自分の要求を表現した」と話す。

 奥田さんの作品は、キャンバスの側面から表面の中央に植物が伸びている。「キャンバスの側面にはあまり描かないが、現代美術はキャンバスをそのまま飾るので側面を使うことも多い」と田中さん。「立体の作品は彫刻ではなく、5面に描かれた絵画作品。作品に貼った紙をくりぬいて、植物が画面から飛び出していて植物の野性味を感じられる」とも。

 名画がモチーフの山田さんの作品「PRIMAVERA」は、同展のために制作した。モチーフを立体で作って写真撮影し、印画紙の上にエッチングを施したもので、「近くで見るといろんなものが見える」と田中さん。1階特別室には、渡辺さんが植物図鑑から切り抜いた3000~4000の植物を床一面に飾りつけ、庭と一体となる作品を展示する。

 田中さんは「新型コロナで気持ちが疲弊し、花見もできないので、現代美術のお花で元気になってもらえたら。西日本ではあまり見ることがない作家の作品なので、見に来てほしい」と呼びかける。5月14日は、奥田さん、山田さんによるアーティストトークを行う。

 開館時間は10時~17時(5月27日は20時まで)。月曜休館。入場料は一般=500円、高校生以下と65歳以上無料。6月19日まで。

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